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カードローン雑学

利息制限法とは?カードローン金利との関係は?

「簡単申込で短期間融資も可能!」

これがカードローンの最大の魅力とも言えますが、1つだけ目をつむらないといけない大きなデメリットがあります。

それは高金利。

このメリットとデメリットがカードローン最大の特徴でもあり、ほかの借入方法との違いとなっています。

それではこの金利はどのように決められているのでしょうか?

実は金利には法律で規定された上限がありますが、それを超えない範囲において金融機関の自由裁量に任されているのです。

そこでカードローン金利を理解する上で重要になのが、その法律である利息制限法。

今回はその利息制限法とカードローン金利の関係について深く掘り下げていくことにします。

利息制限法とはどんな法律なの?

それではまずは今回の主題となる利息制限法について解説します。

利息制限法は簡単に説明すると、金銭消費貸借契約時の金利について規定した法律です。

金銭消費貸借契約という言葉は聞き慣れないかと思いますが、金融機関からお金を借りる時に結ぶ金消契約や物品購入時にローン会社と結ぶローン契約のことで、返済することを前提にお金を借りる契約のことを言います。

この契約を結ぶ際に交わされるのが金銭消費貸借契約書で、この契約書には下記のような契約事項や記載事項が含まれます。

貸主情報 お金を貸す側の会社名や氏名、住所など
借主情報 お金を借りる側の会社名や氏名、住所など
契約年月日 金銭消費者貸借契約の締結日
債権額 借入額
貸付条件 金銭貸借の条件
弁済期日 返済期日
利息 利率(金利)と返済方法
延滞損害金 返済が遅れた場合の賠償

これら内容が記載された契約を締結すれば、この契約書は法的に効力を持つものとなり、借主が返済することを約束したことを証明する証となるのです。

「返すなんて言っていないよ!」と言ってもシラは切れないというわけですね。

基本的には個人間の金銭貸借ではこの金銭消費貸借契約書を取り交わすことはありませんが、貸借額が高額な場合には返済トラブルを回避するためにも、契約書を取り交わすことをおススメします。

しかし、ここで問題となってくるのはこの金銭消費貸借契約書に記載された利息と遅延損害金が、利息制限法で決められた金利設定となっているかという点です。

仮に利息制限法の上限金利に反する金利設定が行われていた場合には、この契約書は法的に無効という形となります。

よって、金銭消費貸借契約を結ぶ際には、まずは金利が利息制限法に法ったものであるかが重要になってくるのです。

利息制限法で定められた上限金利は?

利息制限法に定められた上限金利は下記のように借入元金の大きさによって違っています。

元金10万円未満 上限金利20.0%
元金10万円以上~100万円未満 上限金利18.0%
元金100万円以上 上限金利15.0%

現状では20%以上の金利設定が行われることはないわけです。

仮にこれを超える金利設定が行われていた場合には、超過分で発生した利息は無効となり、元金に充当されることになります。

しかも、利息制限法に反する金利で貸付した業者は利息を無効にされるだけではなく、貸金業者の登録が取り消されたり、業務停止命令という行政処分が下される対象となるのです。

この利息制限法は不当な金利による高額利息から債務者を守るために制定された法律で、上限金利を規制することによって悪質な貸金業者を撲滅することも目的としています。

よって、未だにこの利息制限法に反する金利設定での貸付を行っている貸金業者は違法業者となり、ヤミ金業者だと判断できます。

近年はソフト闇金などの出現により見た目でヤミ金と判断することが難しくなってきています。

知らずにヤミ金業者から借り入れしてしまったという方もいることでしょう。

しかし、この利息制限法の上限金利を頭に入れておけば、知らずにヤミ金から借金していたということからも逃れることができるのです。

行政処分が下されると分かっていて、違法な金利設定を行うところは、まともな貸金業者ならばまずありえません。

よって、分かっていてそのような金利設定を行うのは貸金業者の登録をしていない違法業者ということになるのです。

遅延損害金にも利息制限法の規制が!

また返済遅れによって発生する遅延損害金も利息制限法で金利が規制されています。

その内容は利息制限法第4条1項の「賠償額の予定の制限」に、下記のとおり記載されています。

「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の1.46倍を超えるときは、その超過部分について無効とする。」

利息制限法において定められた上限金利の1.46倍を超えなければ合法ですとということです。

よって、遅延損害金は下記の利率において賠償請求することができます。

元金10万円未満 上限金利20.0% × 1.46 ⇒ 29.2%
元金10万円以上~100万円未満 上限金利18.0% × 1.46 ⇒ 26.28%
元金100万円以上 上限金利15.0% × 1.46 ⇒ 21.9%

金利15.0%で借り入れし、返済が遅れると最大で21.9%もの金利による利息が発生するというわけです。

100万円を15.0%で借り入れしており、31日間返済が遅れたとしましょう。

その際の遅延損害金は下記のとおりとなります。

100万円 × 21.9% ÷ 365日 × 31日 = 18,600円

100万円を15.0%で借りて31日で完済した際の利息が下記のとおりですから、遅延損害金で発生する賠償額がいかに大きいかお分かりいただけるでしょう。

100万円 × 15.0% ÷ 365日 × 31日 = 12,739円

100万円で金利15.0%というのは高金利を言われている消費者金融カードローンの金利設定です。

ということは遅延損害金はそれをも上回る高金利による利息を支払っているのと同じことになります。

そう考えるといかに遅延損害金の支払いがいかに馬鹿らしいものなのかもお分かりいただけますよね。

利息制限法とカードローンとの関わりは?

先ほどの利息制限法の上限金利を見れば、貸付時の上限金利を18.0%と利息制限法の上限金利いっぱいに設定している消費者金融カードローンが、いかに高金利なのかは言うまでもありません。

しかし、それでも現行の利息制限法が施行されたおかげで、今のカードローンは安心して利用できるようになったのです。

以前の利息制限法時の消費者金融カードローン金利は最高でなんと29.2%もの高金利で、借入上限額の設定もありませんでした。

そのため高金利なカードローンを何社も借り入れた挙句、返済不能に陥って多くの自己破産者を生み出したのです。

現在は貸金業法の改正に伴い、利息制限法も改正されたため、債務者を自己破産者にしない対応が取られましたが、以前は社会的問題とも言われるほど深刻な状況となっていました。

なんで29.2%もの金利設定が可能だったの?

そこで疑問となってくるのはなんで29.2%もの金利設定が可能だったのかという点ですが、この話をする上でまず理解してもらいたいのが出資法です。

出資法は金融機関の出資受入や預り金業務、貸付金利等を取り締まる法律で、利息制限法と同じく貸金業者に対して貸付時の上限金利を規制しています。

現在その上限金利は20.0%となっていますが、この金利適用は2010年からのもので、それ以前は29.2%もの高額金利が適用されていました。

カードローン業者が29.2%という今えは考えられない高金利貸付ができたのも、この出資法の上限金利が大きく関係していたのです。

その当時の利息制限法の上限金利は現行と同じく15%から20%でしたが、カードローン業者はこの出資法の上限金利29.2%を上限金利として貸し付けを行っていました。

2つの法律の金利差が生み出したグレーゾーン金利

貸付業者による貸し付けの上限金利は利息制限法と出資法の2つの法律で規制されています。

そして、この2つの法律が規定している上限金利の違いによって生み出されたのがグレーゾーン金利です。

もう一度おさらいすると、その当時のこれら2つの上限金利は下記のとおりでした。

・利息制限法
  ⇒15%~20%(貸付額によって変動)
・出資法
  ⇒29.2%(固定)

つまり利息制限法においては20%を超える金利設定は違法となりますが、出資法においては29.2%を超えなければ違法とはならないというわけです。

よって20%を超えても29.2%を超えなければ、違法性を問われない貸し付けであるという1つの解釈が生まれ、この「20%超え~29.2%以下」の金利はグレーゾーン金利と呼ばれました。

違法か違法じゃないか白黒付けずに曖昧とされたからグレーゾーン金利とは、誰が付けたかは分かりませんが本当に上手いネーミングですよね。

またこのグレーゾーン金利にカードローン業者をはじめとする貸金業者に目をつけたのは、この2つの法律が抱える下記の問題点が大きく関係していました。

・出資法は行政罰ナシで、利息制限法は行政罰アリ
・旧貸金業法(貸金業規制法)では「みなし弁済」が認められていた

出資法が定める上限金利を超えると行政罰が下されましたが、利息制限法の上限金利を超えても行政罰が下されることはなかったのです。

またこれに加えて旧貸金業法には利息制限法の上限金利20.0%を超える金利設定を行っても、下記の事項に該当する契約であれば有効な利息の弁済と認める「みなし弁済規定」が旧貸金業法(貸金業規制法)の第43条に記載されています。

  • 債権者が貸金業登録された貸金業者
  • 貸付時に貸金業規制法17条の要件を満たす書面(契約締結書)を債務者に交付している
  • 返済時に貸金業規制法18条の要件を満たす書面(受取証書)を債務者へ交付している
  • 債務者が利息支払いを認識して任意で支払っている

当時のカードローン業者をはじめとする貸金業者は、このみなし弁済を盾にとって、利息制限法の上限金利を遥かに超える出資法の上限金利を利用することができたのです。

貸金業法改正に伴う改正点

利息制限法と出資法の問題点をついて行われたグレーゾーン金利での貸し付けは、2010年の利息制限法の改正に伴い下記のように修正が行われ禁止されることになりました。

・出資法は行政罰ナシで、利息制限法は行政罰アリ
 ⇒出資法、利息制限法ともに行政罰の対象
・旧貸金業法(貸金業規制法)では「みなし弁済」が認められていた
 ⇒みなし弁済の廃止
・出資法上限金利29.2%
 ⇒上限金利20.0%へ変更

上記の改正に伴い法律上で認められている貸金業者が利用できる上限金利は20.0%に統一され、みなし弁済が廃止されたことによって、事実上20.0%を超える利率で貸し付けできなくなったのです。

しかし、ひとつ問題が残っていました。

それは遅延損害金発生時の利率です。

先程紹介したように遅延損害金の利率は下記のように、利息制限法によって定められた上限金利の1.46倍が上限金利と規定されています。

ここで注目してもらいたいのが実際金利。

1.46倍ということは下記のように、軽く20.0%を超えてしまうことになるのです。

・元金10万円未満       上限金利29.2%
・元金10万円以上~100万円未満 上限金利26.28%
・元金100万円以上       上限金利21.9%

現在は利息制限法と出資法が相互抑制体制に!

利息制限法において規定された20.0%を超える遅延損害金は出資法によって抑制されています。

利息制限法で20.0%を超える賠償額となっても、出資法においては20.0%までとなっています。

つまり、利息制限法においては違法ではありませんが、出資法においては違法となるため行政罰の対象となってくるのです。

となれば刑事罰対象となるわけにはいきませんから、カードローン業者も20.0%を超える利率で遅延損害金の請求をするわけにはいきません。

大半のカードローン業者が遅延損害金の利率を20.0%に設定し、これを超えるところがないのもこういった理由があったのです。

しかも片方では合法でもう一方では違法というのでは一貫性がないため、利息制限法では利第7条1項の「賠償額の予定の特則」において下記のように制限しています。

「第4条1項の規定にかかわらず、営業的金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が年20%を超えるときは、その超過部分について無効とする。」

つまり貸金業者に限っては遅延損害金の上限金利を20.0%に止めることを規定しているのです。

このように以前は利息制限法と出資法の違いによって、債務者に大きな負担のかかる貸付が可能となっていましたが、現在ではこの2つの違いを相互に抑制して以前のような状態にならない対応が取られているというわけです。

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