カードローンの申し込みやすさと借りやすさをはじめとする利便性の高さは、ほかの金融商品には見られない大きなメリットです。
カードローン商品を利用する方が年々減ることなく増加し続けているのも、この利便性の高さが利用者に認められているからこそでしょう。
特に近年は銀行のカードローン市場への本格参入もあり、利用者はこの利便性に加え、借入条件の充実を図ることが可能となりました。
よって、金利面などにおいて、さらにいい条件でカードローンを利用できるようになったのです。
しかし、この状況を喜んでいる方たちだけではありません。
カードローンは簡単に借り入れできる反面、ほかの金融商品よりも金利が高いというデメリットがあります。
よって、複数社から借り入れを繰り返していると、知らない間に返済しきれないような借入額となり、あっという間に支払不能となってしまうからです。
それでは支払不能に陥った場合はどうすればいいのでしょうか?
本来なら支払いできないほどの借り入れはすべきではないのですが、そうなるケースが少なくないとなれば知っておくべき重要事項ですよね。
特に昨今、その状況に陥る方が多くなっているカードローンを利用している方ならなおさらでしょう。
そこで今回は支払不能となった時に取るべき最善策とされている債務整理について詳しく説明していくことにしましょう。
債務整理とは?
あなたなら借金の返済ができなくなった時、どんな対応をしますか?
下記のように人によって様々な対応があるようですが、借金は支払えないからといって放っておいても消えることはありません。
何らかの手段を講じないことには、いつまでも請求が続く事になるのです。
そんな時の救済措置となるのが債務整理。
債務整理とは現在の借金を法的手段に則って減額、もしくは免責して、返済苦から解放されて再出発するための手続きをすることです。
現状では支払える目処が立たないという状況に陥った場合、この債務整理こそが利用者の日常生活を守るための最善策となってきます。
しかし、ここで問題となってくるのは、現在の借金が債務整理を受けるほどの金額なのかという点です。
債務整理を受ける方はいわゆる支払不能であると判断された人たちですが、はたしてその答えはいったい何の基準を持って判断されるのでしょうか?
返済に苦労している方の中には債務整理が頭をよぎる人は多いでしょうが、実際のところ下記のようにどうすればいいのか判断できない人が大半でしょう。
・債務整理を受けるたの条件ってあるの?
しかも、その判断基準は下記のように個人の条件によって大きく違ってくるため、簡単に自己判断できないのが実情です。
・借入総額
・年収
・手持ち財産(不動産や有価証券等)
・返済能力
よって一口に支払不能状態といっても、下記のようにその状況は全く違ってくることが予測できます。
- 現状のままだと支払継続はできないが、利息分をカットできれば支払可能
- 現状のままだと支払継続はできないが、返済金額を減らしてもらえれば支払可能
- 収入や財産が何もなく、どうやっても支払い不能
しかし、これら状況が異なる状態でも、1番適した借金解決手段が取れるのが債務整理なのです。
債務整理の種類
今言ったように支払不能となった方には、減額できれば継続して返済できる余力がある人もいれば、どう対応しても返済するだけの収入も能力もないという人もいます。
どうしても支払いできないと認められるような状態なら仕方はありませんが、少しでも支払える余力があるのなら、可能な範疇で支払いは継続されるべきです。
現在借金苦に悩まされている方は、日本に200~300万人以上いると言われています。
支払不能となった方すべてが全く返済できないでは、日本の金融業融資は経営がおぼつかなくなってしまいます。
よって簡単に借金の返済免責はされるべきではないのです。
「支払不能に陥ったから債務整理を・・・」となっても、全ての方に借金返済を免責するのではなく、金利を免除するなどの返済額を減らす方法が取られるべきでしょう。
こういった理由から債務整理には、下記4つの方法が用意されています。
・任意整理
・個人民事再生
・自己破産
・過払い金請求
それではこられ4つの整理方法を説明していきながら、そのメリットとデメリットを検証していきましょう。
①任意整理
任意整理とは債権者との話し合いで毎月の返済額や、返済総額を見直す手続きです。
冒頭で債務整理は現在の借金を法的手段に則って減額、もしくは免責する手続きだと申しましたが、この任意整理に限っては法的機関の介入はありません。
債務者と債権者との話し合いで総支払額の減額や利息の免除といった協議がおこなわれます。
よって、基本的に任意整理は現在の返済状況では返済能力はないが、和解した金額次第では返済が可能という方が対象となります。
任意整理に向いている方の条件は下記のとおりです。
・返済の意思がある
・返済を継続できるだけの安定した収入がある
・和解金額を3~5年で返済できる見込みがある
この任意整理の最も大きなメリットは何といっても、ほかの債務整理の手続きと比べて簡単である点でしょう。
ほかの手続きは裁判所といった法的機関への申し立てが必要な上、提出する書類も膨大なものになります。
しかし、任意整理は債務者と債権者による交渉が全てです。
もちろん交渉は専門家である司法書士や弁護士に依頼する必要はありますが、費用面にしても一番安価で行えるでしょう。
ですが下記デメリットがあることはよく理解しておいてください。
・返済原資となる収入がなければ利用できない
・借金額が余りにも大きい場合は任意整理では効果がない
・交渉次第だが、利息免除だけで元本減額は難しい
・整理完済後は5年程度、借り入れやローンが組めない
・債権者と和解が成立しないケースもある
任意整理を行うと信用情報にはその情報が登録されることになります。
よって、当然のことながら信用情報にその記録が保管される完済後5年間は新規の借り入れやローン組みはできません。
任意整理をするということは支払能力がないと言っているのと同じことですから、その記録があればどこも信用取引に応じてくれないのは当たりまえの話ですよね。
しかし、任意整理を選ぶ際に注意してもらいたいのが、借金の額が小さすぎる場合や大き過ぎる場合は、任意整理を行っても効果はないということです。
任意整理における主な減額は利息になります。
よって借入額が小さすぎる場合は大した効果はありませんし、5,000万円を超えるような大き過ぎる借金は利息を免責したくらいで返済可能となることはありません。
任意整理は借入額が20万円以下、または5,000万円を超える場合、債務整理の方法としては効果を発揮しないと理解しておきましょう。
②個人民事再生
段階を追って任意整理では対応できない場合、次に検討されるのが民事再生です。
民事再生とは裁判所を介して借入額の減額を行うことを目的にした債務整理手続きで、元本の減額が難しい任意整理とは異なり、裁判所の認可が下りた場合は原則債務の5分の1まで減額することが可能です。
よって任意整理の利息免責だけでは返済の目処が立たない、もっと大幅な支払減額が必要な方におススメの債務整理となってきます。
よって個人民事再生に向いている方の条件は下記のようになります。
・返済の意思がある
・返済を継続できるだけの安定した収入がある
・和解金額を3年で返済できる見込みがある
この個人民事再生の最大のメリットは大幅な借金減額ですが、裁判所の認可を取るには継続して安定した収入が得られるだけでなく、その金額が返済するために十分なものであることが求められます。
個人民事再生は原則、認可後は3年間の支払い継続が発生します。
よって3年間の継続返済ができる返済能力があるかが、申し立てが通るかどうかの分岐点となってくるのです。
その能力を測るため裁判所に申し立てした時点で、手続き後の支払いに必要な金額を毎月積み立てする必要が出てきます。
この積立ができなければ返済能力なしと判断され、個人民事再生の申し立てが認可されることはありません。
つまり、個人民事再生は任意整理よりも大幅に借金を減らすことのできるメリットの高い整理手続きですが、裁判所からの返済原資となる収入要件のチェックは厳しく、それをクリアできなければ利用できないというデメリットも存在するのです。
この点に関しては専門家である弁護士との相談が必要となってきますが、個人民事再生では収入要件が重要な決め手となってくることはよく理解しておきましょう。
③自己破産
債務整理の中でも究極の手続きとも言えるのが自己破産です。
自己破産は裁判所に全ての債務に対する返済義務を免責してもらう手続きで、裁判所に破産申立書を提出し、裁判所が支払い能力不能と判断してはじめて手続きが完了となります。
全ての借金の返済義務から解放されるのですから、債務者にはこんなに都合のいい債務整理手続きはありません。
事実、自己破産のメリットには下記のものが挙げられます。
・公共料金や税金滞納以外、ほぼ全ての債務から解放される
・誰でも手続き可能
・取立ての悩みから解放される
・近親者に迷惑をかけずに債務整理が完了する
任意整理にしても個人民事再生にしても利用するために収入要件が必要となってきますが、自己破産は手続き後の支払いがないため、収入要件が全く不要で誰でも申し込めます。
この利用間口が大きいのは、自己破産の大きな特徴とも言えるでしょう。
また下記のような理由でほかの債務整理を利用できない方は、自己破産手続きすることで効果的に借金問題を解決すること可能です。
・利用するための収入要件が満たされていない
・借入額が大きすぎて任意整理や個人民事再生では効果がない
・無職、または無収入であるためほかの債務整理の手続きが取れない
しかし、誰でも手続きできる自己破産ですが1点だけ条件があります。
それは免責不許可事由に該当しないことです。
免責不許可事由とは免責決定を受けられなくなる行為を指し、下記のようなものが対象となります。
- 返済に充てられるはずの財産を不当に減少した場合
解約払戻金が高額保険の隠蔽、財産隠し、不当な売却、他人への不当な譲渡 - 浪費や賭博行為で過大な債務を負った場合
日常生活では考えられない浪費、ギャンブル、射幸性の高い行為 - 支払い不能であることを知りつつ信用取引を行った場合
破産手続申し立て日の1年前から破産手続開始決定日までの間
しかし、免責不許可事由があるから必ず自己破産が認められないというわけではありません。
自己破産には裁量免責制度があります。
免責不許可事由があっても裁判所による裁量で免責が認められることがあり、特に1回目の自己破産手続きの場合はこの裁量免責が認められるケースが多いようです。
しかし、必ずしもというわけではなく、免責不許可事由が悪質なものであれば裁量免責が認められることはありません。
この点をよく理解し、免責不許可事由に当たる行為は避けるようにしましょう。
以上のように本当に返済不能に陥った債務者にとって、まさに打って付けの効力を発揮する自己破産ですが、デメリットがないわけではありません。
自己破産で発生するデメリットは下記のとおりです。
- 過剰と思われる債務者名義の財産が全てなくなる
- 士業など、就ける職業に制限が発生する
- 税金や公共料金など一部の債務は免除されない
- 国の発行する官報に記載される
- 信用情報に記載され、最低十年は信用取引が不可能となる
自己破産手続きが認められれば、上記のようなデメリットが生じます。
全ての方に上記項目すべてが目を覆いたくなるようなデメリットとなるわけではありませんが、自己破産を検討する際にはこれらデメリットはよく理解しておく必要があります。
その上で本当に自己破産が1番メリットの高い債務整理手続なのかを、慎重に検討する必要があるでしょう。
④過払い金請求
現在の改正貸金業法では貸金業者は利息制限法に定められた上限金利である20%を超える利息請求を行うことはできません。
しかし改正以前の貸金業法では、出資法に定められた上限金利29.2%を上限金利として請求することが可能であっため、現在と比べると非常に高い利息請求が行われていました。
ですがこの出資法による利息請求が最高裁判所により認められない判決が下されたことにより、利息制限法に定められた上限金利を超える利息支払いをした方はその差額を過払い金として返還請求できる権利を得たのです。
これを過払い金請求といいます。
この単なる過払い金返還請求がなぜ債務整理となるのか、不思議に思われる方もいることでしょう。
実はつい最近までは過払い金請求が債務整理に分類されることはありませんでしたが、過払い金請求することで今ある債務をすべて返済できたり、その一部を返済できることから債務整理の1手段として数えられるようになりました。
現在過払い金請求ができる方は日本に約500万人でその総額は10兆円に上ると言われますが、実際に過払い金請求に踏み切る人の数はそう多くないのが実情です。
しかし、過払い金請求が可能な方の条件は下記の通りとなっており、過払い金請求することで大きな債務整理効果を生み出す可能性があります。
過払い金は多い方で100万円を超えるものとなり、その平均金額は約82万円とも言われています。
となれば現在、借金返済している方はこの過払い金を得ることで債務整理を大きく前進させる可能性は高いと断言できるでしょう。
過払い金が発生する金融機関は下記の通りで、メジャーなところが多く含まれていることが分かります。
・アイフル
・武富士
・プロミス
・イオンクレジットサービス
・オリエントコーポレーション
・クレディセゾン
・JCB
・トヨタファイナンス
・三井住友カード
上記で平成22年以前に借入したことがある方は、過払い金がないか確認する必要があるでしょう。
この過払い金請求は支払いすぎたものを借金返済に充てられるのですから、間違いなくやるべき債務整理手続きと言えますが、下記のようなデメリットも存在します。
- 司法書士や弁護士などの専門家に頼る必要がある
- 専門家に支払う費用が発生する
- 自分でも行えるが貸金業者とまともな交渉ができない可能性が高い
- 返還請求した先からは今後借入ができなくなる可能性が高い
基本的には法律知識が必要となる交渉となる上、訴訟に発展するケースもあるので、司法書士や弁護士といった専門家に頼る必要があります。
よって、専門家に支払う費用が必要になることは覚悟しておく必要があるでしょう。
しかし、その費用は下記の通りで、過払い金請求学にもよりますが支払ったとしても、債務整理に大きなメリットとなることは間違いないでしょう。
・解決報酬金・・・2~3万円が相場
・過払い金報酬・・・和解で20%、訴訟で25%が相場
自分に適した債務整理を!
以上のように支払い不能となった場合はそのまま放っておかず、キチンと整理しておく必要があります。
そのための債務整理ですが、どの債務整理をするにしても、必ず専門家の助言が必要となってくるでしょう。
よって、借金苦に陥って悩んでいる方はまず専門家に相談して、どのよな措置を取るのがいちばいいのかを相談するようにしてください。
債務整理は人生の終わりのようなイメージを持つ方も少なくありませんが、実のところは法に則った個人の生活を守るための保護策の1つです。
この点をよく理解して、早めの対応を心がけるようにしましょう。