配偶者貸付というのは、端的に言うなら"配偶者に収入があるのであればその収入を基準に審査して貸付しますよ"という貸金業法で定められている制度です。
例)
夫 会社員 年収300万円
妻 専業主婦
夫妻の借金 40万円
この場合、専業主婦である妻が消費者金融のカードローンを申し込んでも審査で落とされます。なぜなら収入がないからです。
しかし、このような場合でも、夫の年収300万円を基準にして審査をし、問題なければカードローンを使っても良いですよとしているのが配偶者貸付という制度です。これは消費者金融を規制している貸金業法という法律の中で定められている制度です。
貸金業法には総量規制という規制も定められており、消費者金融は年収の3分の1までしか融資することができません。つまり、例にある夫婦の場合は夫の年収の3分の1である100万円が貸金業者のカードローン等で借り入れできる上限ということになります。また、夫妻にはすでに40万円の借金がありますから、100万円の上限を基準にすると残り60万円まで借り入れ可能ということになります。
(夫の年収)300万円÷3(分の1)-(夫妻の借金)40万円=60万円
ただし、業者によっては専業主婦の借り入れそのものを禁止していたり、OKであっても上限額を10万円とか30万円といった比較的低額に抑えているケースもあります。
昔の貸金業法ではそんな無収入の専業主婦に対しても積極的に融資を行い、結果として一家離散を招くような事態が続発しました。不景気が続いて給与水準が上がることもないのに収入のない専業主婦(主夫)に無節操にお金を貸し出すという行為はあまりに問題があるということで貸金業法が改正され、無尽蔵に借りる事ができないように総量規制といった規制が設けられました。また、貸金業法では専業主婦への融資は原則禁止し、例外として配偶者の同意があれば配偶者の年収の3分の1までは貸し付けしても良いですよということになったわけです。これが配偶者貸付制度で総量規制の例外とされています。
また、貸金業法によって、専業主婦への融資をアピールすることも消費者金融は禁止されています。収入のない人に"融資をします"と宣伝するのは長い目で見れば借金地獄にあえぐ人を増やしてしまうのではないかというわけです。もし仮に、『専業主婦に融資します!』と宣伝している消費者金融や信販会社があれば、それは法律違反を公然と犯していることになります。間違ってもそんなところでは借りないようにしましょう。後々取り返しのつかないことにもなりかねません。
一方、銀行についてはどうかというと、銀行はそもそもの法律が違ってきます。消費者金融が貸金業法で規制されるのに対して銀行は銀行法という法律で規制されています。銀行法の中では専業主婦への融資を禁止しているわけではありませんから、法律上は専業主婦への融資は可能ということになっています。
ただし、銀行独自の審査基準で専業主婦不可としていることが多いのが実情です。中にはごく一部の銀行で専業主婦でも融資を行うケースもありますが、そのケースであっても配偶者の同意は不可欠です。つまり貸金業法における配偶者貸付と同じような条件があるわけです。
というわけで、専業主婦(主夫)のように収入のない人にとってはまことにお金を借りにくい時代といえます。配偶者貸付があっても、専業主婦への融資をする銀行があっても、結局は配偶者の同意が必要なわけですから、それならば配偶者名義で借りればよいということになります。
専業主婦OKのカードローン
オリックス銀行カードローン
専業主婦(主夫)への融資はしていません。Q&Aの中に『原則、毎月安定した収入のあること(専業主婦(主夫)、年金受給のみの方は除く)』との記述があります。
住信SBIネット銀行カードローン(Mr.カードローン)
こちらも専業主婦不可です。Q&Aの中に、『専業主婦ですが、カードローンの申込みはできますか?』という問いへの答えとして、『安定した収入が必要になりますので、収入のないかたは利用できません。』という記述があります。
アコム
こちらも専業主婦不可です。"よくあるご質問・お問い合わせ"の中に、『主婦、学生、パート、アルバイト、派遣社員でも申し込みは可能ですか?』という問いへの答えの中に、『ご本人のお勤め先がない専業主婦の場合はご契約致しかねます。』という記述があります。
プロミス
こちらは記述はありませんが、商品説明のなかに『主婦や学生でもパート・アルバイトなど安定した収入のある方はご審査のうえご利用が可能です。』との記述がありますので専業主婦の申込みはNGだと思われます。
【プロミスの詳細解説】
>プロミス借り入れについて
アイフル
よくあるご質問の中に『誰でも申し込みは可能ですか?』という問いへの答えとして、『主婦(専業主婦除く)』との記述がありますので専業主婦は申込みできません。