硬貨の作り方についてNHKの『探検バクモン』で取り上げられていました。
お金は私たちの生活で当たり前のようにやりとりされていますが、当然、誰かが作っているからあるわけで、どんな感じで作られているのか興味がある人も多いんじゃないでしょうか?
今回取材されたのは造幣局大阪本局。
造幣局って大阪が本局で、東京と広島にも造幣局があるんですが、そちらは支局になるそうです。
ちなみに、造幣局の内部は通常、テレビカメラ一切NGです。確かにテレビ番組で造幣局の中を紹介する映像を見た人は少ないかもしれません。今回はNHKということで特別に許可されたのかもしれません。
番組によると、この大阪造幣局では年間数百億円が作られているそうです。日本全体での貨幣の製造数は、財務省の公表データによると、
25年の貨幣の製造枚数
979,560,000枚
でした。9億7956万枚です。金額にすると、
173,859,875,000円
です。1738億5987万5000円です。もちろん硬貨だけです(紙幣は造幣局では作ってない)。
テレビで紹介されていたのは造幣局の職員でも決められた人しか入れない貨幣の製造現場です。国家の最重要機密がつまっているところですから個人が所有する貨幣の持ち込みもNGで、わずかな金属も金属探知機でチェックされてました。
テレビ初公開!?100円硬貨の作り方
今回紹介されていたのは100円硬貨の製造過程です。
これはロール状の金属で、仕上げ圧延板といいます。これが100円硬貨になります。バウムクーヘン状ですね。銅とニッケルの合板ということです。
自動搬送車で原料を運搬します。これだけ大きな金属ロールですからオペレーターが機械を操作して運搬するのかと思いがちですが、全自動で運搬されるそうです。
機械にも自動でセットされます。何気にすごい技術です。
ロール状の金属板を伸ばしていくところです。これが100円硬貨になります。何かお菓子でも作っているかのような感じです。
この機械は圧穿機(あっせんき)といい、ここで円形にくりぬきます。
1秒間に60枚のスピード、金額にすると1時間2160万円です。
くりぬかれただけのものは円形(えんぎょう)というそうです。
この工程は圧縁機という機械を通して硬貨の縁の部分の盛り上がりを作るところです。
縁を作るのは文字や模様を型押しした際に硬貨が広がってしまうのを防ぐためで、縁が盛り上がっていることで強度が出ます。
これが縁をつけたばかりの円形。
大きさや重さが不正確なものはすべてはじかれます。もちろん、はじかれたものも含めてすべて枚数や重さがカウントされており、1枚でも足りなければ職員は帰ることができません。
こは円形(えんぎょう)に模様をつける機械。圧印機というそうです。
数十トンもの圧力で上下から100円の模様をつけます。極印というそうです。あっという間、一瞬で100円硬貨が出来上がります。
まるでパチスロ屋さんのコインのように100円玉がジャラジャラと出てきます。
極印された100円玉は模様がきちんとついているかのチェックにかけられます。ここは非常に重要な機密事項だそうで秘密マークが大量についてますが、要するにあらかじめ指定しておいた模様から0.1mmでもずれていればはじかれるようです。
そして最終チェックはやはり人。実は、お金には世間に公表されていない秘密もあるそうで、そういった観点から専門の人が2000枚ごとにチェックを入れるそうです。ちなみにこの手の方は100円をチェックし続けること36年だそうです。『お金ではなく製品としてしか見れない』とのことでした。ごもっともです。
できたての100円硬貨
細かな模様は偽造防止の役割を果たしているそうです。
偽造防止技術が最もたくさん盛り込まれているのが500円硬貨。
例えば、ピンクの部分はミクロン単位で細工がされています。
こちらは微細点。
こちらが微細線。
こちらは潜像加工。角度によって"500円"という文字が浮き上がります。
これは斜めギザ加工。大量生産される硬貨としては世界で初の技術なんだそうです。
お金をコイントスしてよく裏か表かなんてかけたりしますが、法律上は裏も表も決まってないんだそうです。しかしそれでは貨幣づくりの現場は混乱するので、現場としては一応年号がある方を裏と呼ぶことになっているそうです。
こうしてみると、貨幣のすごさを感じずにはいられません。模造されると貨幣の信用がガタ落ちですから絶対に模造されないものにしないといけない反面、国家の顔としての品のあるデザインが求められます。まさに国家の威信をかけた芸術品といえるのではないでしょうか。