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給料・収入関連

給料明細の見方~しっかりチェックして支払間違いを予防~あさイチより

毎月受け取る給料明細。きちんと確認していますか?

「月給だから、毎月同じ額が同じように記載されているだけだから…」
「会社を信頼しているから…」

などの理由で確認していない人も多いのではないでしょうか。

しかし、給与計算のミスはとても多いそうです。専門家の中には「9割近くの企業で計算間違いがある」と指摘する人もいます。

パート・アルバイトの人も他人事ではありません。一昨年に全国の労働基準監督署が扱った賃金不払い事件は16881件にのぼり、不払い額の合計は約115億7145万円にもなったそうです。

今回は、知らないと損をする給料に関する知識や、支払いが間違っていた場合の対処法などを紹介していた『あさイチ!』を中心に、情報をまとめていきたいと思います。

目次

給料明細を見てみると…

Wさん(39歳女性)は、パート収入で生計を立てています。

勤務形態は「午前9時から午後3時までの早番」、「午後3時から8時までの遅番」、「開店から閉店までの1日勤務」の3パターンがあり、3人のパートさんがシフトで回しているので日によって出勤時間が変わるそうです。

Wさんは働きはじめて間もなく、給与明細に疑問を抱きました。疑問を抱いた月の基本給は、時給820円に働いた時間を掛けた122,180円で、残業代は0円、支給額は基本給と同額でした。この月は1日に11時間勤務する日が6回あったそうですが、Wさんは「勤務時間が8時間を超えているのに割増がない」ことに気が付いたのです。

法律では1日の労働時間が8時間までと決められています。それを超える場合は企業と労働者の間で取り決めが必要となり、原則として25%以上の割増賃金が生じます。これは正社員だけでなくアルバイトやパートにも適用されるルールです。

しかしその後もWさんには割増賃金が支払われなかったそうで、会社に言うこともできませんでした。「会社に雇ってもらっているという意識のほうが強いので、いろいろと言って切られたらどうしようと思った」というWさんは、労働組合に加入することにしました。

組合が会社と交渉した結果、92.5時間分の割増賃金18,960円が支払われたそうです。

割増賃金について

時給1000円で割増賃金が発生する条件のもと勤務した場合の増加率は、以下のようになっています。

・時間外勤務
1日の労働時間が8時間を超えると「25%以上」割増しなければならないと決められているので、時給は1250円以上になります。

あまり知られていないのは、1週間の合計時間でも時間外勤務となる場合があることです。たとえば月〜土の週6日、毎日7時間勤務(合計42時間)を続けるとどうなるでしょうか?1日単位で見ると8時間を超えていませんが、1週間の合計労働時間が40時間を超えた場合にも25%の割増賃金が発生するという決まりがあるので、2時間分は1250円以上になるのです。

さらに、大企業のみですが、1ヶ月の時間外労働が60時間を超えると50%以上の割増賃金となるという決まりもあります。

・深夜勤務(22〜5時)
深夜勤務も25%割増なので、時給が1250円以上になります。
それでは、昼間から勤務を開始して時間外に当たる時間が深夜に及んだ場合はどうなるでしょうか。

あさイチより

たとえば昼12時から夜11時まで勤務した場合は、夜9時までは基本時給の1000円で、10時までの1時間が時間外になるので1250円になります。そして10〜11時は時間外かつ深夜勤務になるので25%+25%=50%以上となり、時給は1500円以上ということになります。

・休日出勤
一口に「休日」と言っても、割増賃金が発生する休日とそうでない休日があり、前者を「法定休日」、後者を「所定休日」と呼びます。

法律では必ず週に1日休むことになっているので、週休1日の会社の休日は必ず法定休日になります。週休2日の会社は、どちらが法定休日でどちらが所定休日かを決めるようにとされており、法定休日に出勤すると割増率35%以上の賃金が支払われますが、所定休日に働いても割増はありません。

どこまでが労働時間?

社会保険労務士の北村庄吾氏が、あいまいな労働時間について解説していました。

・ラジオ体操や朝礼は労働時間?
これは微妙だそうで、強制参加ならば労働時間に含めるということになるそうです。賃金は1分単位で支払わなければいけませんから、強制のラジオ体操の時間も数分とは言え賃金が発生することになります。

・昼休みの電話当番
昼食を取りながら電話が来たら対応する、というケースもあると思います。
これは明確に労働時間に該当するそうです。休憩時間は、完全に自由に利用できないと休憩時間とはならないそうです。

・着替え時間
制服が義務付けられていたり作業着に着替える必要があったりする職場では、着替え時間も労働時間に含まれるそうです。

・管理職
残業がつかないのは管理監督者です。厚生労働省の基準では、部長クラス以上で人事権がある人のみとされているそうです。

 

労働制度に対する誤解

誤解されやすい「裁量労働制」

裁量労働制というのは、1日あたりの「みなし労働時間」を定めることで、実際に働いた労働時間にかかわらず、「みなし労働時間」の分だけ働いたものとするという制度です。専門的職種や企画管理業務など、その業務の性質上、仕事の手段や方法、時間配分等を労働者の裁量にゆだねる必要がある職種で適用されるのですが、悪用されやすい制度でもあります。

「この制度を適用すればいくら働いても(働かせても)給料は変わらない」と考えられていることもあって長時間勤務を余儀なくされている人も多いようですが、ある事例では、この制度の適用自体が無効とされたこともあるそうです。
厚労省が告示している適用条件の1つに「ゲーム用ソフトウェアの創作」があるのですが、あるゲーム会社で「版権関連の外部取引」「ノベルティ制作や商品企画」「ゲームの体験イベントの開催」「ゲーム宣伝用のサイトおよびSNS運用」など主に宣伝業務に携わっていた人に適用されていた裁量労働制が労基署によって「無効」とされ、会社に対して労基法違反の是正勧告が出されたそうです。

これは、「ゲーム用ソフトウェアの創作」の「創作」に当該労働者が従事していた宣伝業務は当たらないからなのですが、この「創作」を拡大解釈して適用している会社も多いようです。

「固定残業制」はいくら残業しても残業代が増えないというわけではない

一定時間残業することを見越して、あらかじめ「みなし残業代」や「固定残業代」を設定している会社もありますが、“いくら残業しても残業代が一定である”という制度ではありません。

その制度で定められた一定の時間をさらに超えて残業した場合は、その分の残業代や割増賃金の支払いを会社に求めることができます。また、残業時間や賃金を会社が設定する際も規定に従ったものにする必要がありますし、その内容に不明確なところがあれば違法と判断される場合もあるようです。

「おかしいな?」と感じることがあれば労基署などに相談するようにしましょう。

参考:
人気ゲーム会社「サイバード」の裁量労働制が無効に
未払いの「残業代」「割増賃金」の計算方法、支払ってもらうための手段
裁量労働制(ウィキペディア)

給与明細書について

給与明細書は未払いの残業代を請求する場合に重要な証拠になるので、必ず保管しておきましょう。過去2年分まで請求できるので、出勤簿やタイムカードの控えも2年分は保管しておくべきです。(民法が改正されてこの期間が伸びる可能性もあるそうですから、2年以上前のものも大事にとっておく方がいいかもしれません。)

ご自分の給料明細を確認して疑問がある場合は、労働基準監督署や厚生労働省のほっとラインなどに相談してみると良いかもしれません。(ほっとライン0120-811-610 平日17〜22時,土日10〜17時)

「最低賃金」について

最低賃金は都道府県ごとに決められているもので、その額以下で働かせると違法になります。

このことはよく知られていますが、アルバイトなどの時給制での勤務に比べて月給制や歩合制などの場合には、意識して計算しないと自分の最低賃金を把握するのは難しいところがあります。

番組に登場したYさんは14年間タクシー運転手を続けており、給料は歩合制だそうです。売上が多いほど自分の給料が上がるという制度ですが、あるとき、ひと月の売上額が会社の最低ノルマを下回ったことがあったそうです。

労働時間はいつもとほぼ同じ203時間でしたが、受け取った金額は164,982円でした。この金額を労働時間で割ると、時給換算で812円になります。当時の神奈川県の最低賃金は818円でしたので、下回ることになります。しかし、その月の明細には「保障給」というものが記載されており1,267円が支払われていました。これを足して計算すると時給にして819円になるようになっていたそうです。

このように、Yさんの会社はしっかりと計算して最低賃金を上回る支払いがなされていましたが、会社によっては労働者が知らないうちに最低賃金以下の賃金が支払われていることもあるかもしれません。

今年、全国的に最低賃金が22〜26円アップすると見られています。
静岡県立大学の中澤秀一氏によると、最低賃金は以下の3つを見て決められているそうです。

・ 労働者の生計費
・ 地域の労働者の賃金
・ 企業の支払い能力

審議会がこれらを見て決めているのですが、審議会での会議のプロセスは非公開なので詳しくはわからないそうです。

最低賃金での暮らしぶり

番組では、冒頭に登場したWさんの生活ぶりを取材していました。

高校卒業後、化粧品会社に就職し16年間勤務しましたがヘルニアを患い退職。その後、腰に負担の少ないクリーニング店での勤務を選択したそうです。

現在はアパート(2DK、家賃54,000円)で64歳の母親と2人暮らしをしており、食費は2人で月35,000円、通信費は11,000円などがかかり、支出の合計は202,600円となっているそうです。

あさイチより

収入はWさんのパート代とお母さんのバイト代を足した205,000円なので、貯金をするのは困難な水準で生活を維持しているとのことでした。

さらに、2年ほど前からクリーニング店での勤務時間が減りはじめたため、困難さが増してしまいました。

以前は毎月150時間ほど勤務していたそうですが110時間ほどに減少してしまい、手取りは約12万円あったものが7万円を切る月も出るようになったそうです。

Wさんにはもっと働きたいという気持ちがありますが、会社はパート従業員同士の予定を調整しているため、このような形になっていると説明していました。

そこでWさんは仕事を掛け持ちすることに決め、ホームセンターのパートを始めました。時給はクリーニング店よりも高いのですが、立ちっぱなしで重い商品も扱う仕事はヘルニアを患っていたWさんにはなかなか大変な仕事内容です。
番組が取材をした日、朝9時半〜午後1時半までホームセンターで働き、お昼を挟んでクリーニング店に出勤していました。

最低賃金の現状

「25歳の単身男性が25平米の賃貸アパートに住んだ場合」という想定で、生活に必要な経費等の負担が現状どうなっているかを、全国で最低賃金が低めである盛岡市と真ん中辺りに該当する静岡市、そして高めであるさいたま市の3都市をピックアップして見てみると…


あさイチより

盛岡や静岡では自動車が生活に不可欠であるため交通費が高くなり、さいたまに比べて低めになっている住居費の負担の軽さが相殺されてしまいます。

このようにトータルで見てみると、最低賃金に差のある3箇所でも生計費にはほとんど違いがないことがわかります。

それどころか、最低賃金で暮らした場合の差は…

あさイチより

同じ条件なら最低賃金が低い地域ほど生活が苦しいという現実があることがわかります。
このような現実を鑑みて、中澤氏は「最低賃金は全国一律の方がいいのでは」と話していました。

まとめ

今回は給料の計算方法や現状についてまとめてきました。

しかし、どのように計算したら良いかが理解できて、実際に間違いを見つけたとしても、「言うと会社に迷惑がかかるから…」「立場が悪くなるといけないから…」などと考えて会社に言うことができないことも多いと思います。

そういう場合は、本文中で紹介した厚生労働省のほっとラインや労働基準監督署、その他労働組合などに相談してみてください。

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