人生のうちでもっともお金がかかるものの一つに子供の教育費があります。特に最近は大卒にこだわる傾向が強く、よりよい大学に入るために早い段階から塾に通い、多くの費用をかける家庭が少なくありません。
しかし、この教育費、備えがなかなかできないことでも有名です。いくら用意したらよいのか、どんな方法があるのかについて、あさイチで特集がされてましたのでご紹介します。
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目次
教育費の想定外
教育にはいろいろな意味で想定外の出来事が発生します。番組でも、大学に進学したものの単位が取れずに奨学金が打ち切られた話や、公立高校に進学予定だったのに私立になってしまい、想定以上の出費に困惑した話などが紹介されていました。
それ以外にも、大学受験に失敗して浪人してしまう、中高一貫校なのに高校入学金が必要になる、入学金の支払いに奨学金をあてにしていたのに奨学金がもらえるタイミングが遅いなど、実際に体験してみないとわからない想定外があるものです。
それらすべての想定外に完全に対応できるだけの備えをするのは厳しいかもしれませんが、ある程度は備えをしておくことでその後の負担感が大きく変わってくることもあります。
番組では、塾の費用、奨学金、公的支援、身内からの贈与などについて詳しく解説がありました。
塾の費用について
塾の費用は家計を大きく圧迫する要因になります。
番組に出演していたファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏によると、塾は高額になりやすいにも関わらず、簡単に"習い事"感覚ではじめてしまうケースが多いのだそうです。週に一回程度やっているうちはいいですが、受験の年や兄弟の重なりが発生した年は費用は急激に増加します。夏期講習などが入ってくると月に10万円を超えるケースも普通であり、家計を圧迫する原因にもなってしまいます。
そうならないために、できるだけ最初から想定して塾に通う頻度や塾代を考慮しておくべきなのだそうです。たとえば受講科目を1科目だけに絞っておくとか、できるだけ安いところを探してみるといったことです。
一般的に、教育費の目安は家計の10%以内が妥当な線だそうで、10%を超えると多くの場合は家計の他の部分にしわ寄せがきます。食費を抑える、お父さんのお小遣いを減らすなどですね。そうならない範囲ということで高校卒業までは10%以内で何とかやりくりして、できるだけ貯金などの備えをしておくべきだということでした。大学入学時200万~300万貯蓄しておくとその後がスムーズになるそうです。
塾代を節約する耳より情報
無料塾
中学生の補習を目的に市町村や教育委員会が主催している。全国2000か所。元教員や教員志望の大学生が講師を務める
無料ネット講座
インターネットを使った無料の講座。元塾講師や有名大学の大学生が講師を務める。
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奨学金について
昔は特別なイメージもあった奨学金も、今では実に多くの人が利用しているそうです。
日本学生支援機構の「学生生活調査」(平成24年度)によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学学部(昼間部)で52.5%、大学院修士課程で60.5%、大学院博士課程で66.2%となっています。
番組では私立大学文系に通うという設定で、入学金は約80万円、卒業までの学費580万円と学費を試算していました。このうち、学費を奨学金でまかなうとすると、以下のようなパターンが選択可能だそうです。
576万円借りる⇒返済は月約2万6千円×20年
240万円借りる⇒返済は月約1万4千円×15年
ただし、奨学金は子供の借金になります。就職後に返済をしていく必要があるのでそのことまで想定していくら借りるか、返済はいくらになるのかを決めておきたいものです。
FPの竹下さくら氏によると、大卒の初任給は20万円が相場なので、それを基準に考えて月々の返済は2万円未満に抑えるのがベターな選択とのことです。もし2万円以上の返済にしてしまうと、返済に追われている感じがしてストレスになりやすく、働くモチベーションを下げる可能性が出てくるそうです。実際、竹下氏への相談の中には
『結婚したいが奨学金の返済が重くて貯金できずに資金がない』
とか、
『住宅ローンを組んで家を建てたいが奨学金を借りている分を減額されてしまって必要な金額のローンが組めない。』
といった相談がいくつもあるそうです。そうならないために、奨学金を申し込む最初の段階でいくら借りるかを慎重に決める必要があるということです。
ちなみに、奨学金は入学後、支給開始のタイミングが遅いので入学金には使えないそうです。例えば日本学生機構の奨学金だと手続きが5月ごろになるので入学金は間に合わず、自力で何とか用意する必要があります。文系であっても私立大学だと入学時に100万円近いお金が必要になりますから計画的に貯蓄しておきたいところです。
返さなくて良い奨学金
奨学金というものは基本的に借金ですから借りたら返さなければなりません。しかし、中には返済の必要がない奨学金もあり、それを給付型奨学金といいます。
このような"返さなくて良い奨学金"は昔からありましたが、昔は特別な状況で許される"特別な奨学金"という位置づけでした。それが、リーマンショック以降は学ぶ意欲があるのにお金がないという学生を支援する目的で多くの大学が給付型奨学金を用意するようになったのだそうです。現在、給付型奨学金は大学全体の8割、私立に絞って言えば9割の大学で用意されているほどポピュラーなものになっているようです。
この給付型奨学金、内容も特色あるものが多く、たとえば地方出身者のみが利用できるものや第三子以降の学生のみが利用できるもの、国公立大学との学費の差額を奨学金として支援するものなど多岐にわたります。
年収と奨学金
基本的には学びたいけどお金がないという人を救済するのが奨学金ですから、親の年収(世帯収入)が高い場合は利用したくてもできないケースがほとんどです。特に有名どころの奨学金は厳しいといえるでしょう。
奨学金の返済が難しい場合
日本学生支援機構の場合、毎月の返済額を減らしてくれたり(期間が延びる)、一定期間返済を休止してくれたりする制度もあるそうです。どうしても難しい場合は滞納する前に相談するようにしましょう。
高校授業料等の公的支援
公立高校・・・23万円
私立高校・・・48万円
公的支援には、国からの支援である『就学支援金』と都道府県からの支援である『学資補助金』などがあります。
高校授業料の国からの支援『就学支援金』
就学支援金とは、
授業料に充てるための就学支援金を支給することにより、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の実質的な機会均等に寄与することを目的としています。
という公的支援で、全日制の高校であれば月額9900円(年額118800円)の支援金がもらえる制度です。公立でも私立でもOKですが、世帯年収が910万円未満であることが条件となります。
都道府県からの支援金『学資補助金』
県からの支援は学資補助金といいますがこれも都道府県によっていろいろ用意されています。申請書類等は学校で入手することが可能です。
学資保険について
毎月積み立てていって、入学時などにまとまったお金が支払われる保険を学資保険といいます。保険ですから、途中、親に何かあって保険の支払いができなくなっても、時期がきたら契約上のお金が支払われます。
ただし、中途解約するとそれまで支払ったお金を捨てることになるケースもあるので解約するときはタイミングを計る必要があります。
契約者貸付
まとまったお金が必要で保険の解約を検討するような場合であれば、契約者貸付という制度があるのでそれの利用を検討するとよいそうです。
貯蓄性の高い保険であれば、解約時の返戻金の一定割合を上限に保険会社から低金利でお金を借りることができます。
通常のカードローンでお金を借りた場合は金利が15%~18%という場合も珍しくはありません。消費者金融は18%、銀行なら15%前後というのが最初に借りた場合の標準的な金利ですし、借りれる額も最初はせいぜい数十万円です。
しかし、保険の契約者貸付であれば金利は数%(3%前後)で借りることが可能ですし、借りれる額も解約返戻金の額によっては100万円を超える額をいきなり借りることも可能です。さらに、申請すればすぐに貸してくれるため、今日申し込んで明日借りれるというような場合もあります。ちなみに教育ローンの利用だと手続きに数週間かかることも珍しくはありません。そして、何よりも保険の保障を受けながらお金も借りれるという大きなメリットがあります。FPの竹下氏おすすめのお得な制度です。
ただし、利用するには注意点もあります。
まずは返す当てがあること。返せなければ満期時にもらえる返戻金がもらえなくなる可能性もあります。次のボーナス時に満額返済できるなどの当てがなければ利用するのはやめておいた方が良いでしょう。
次に、借りれる額は解約返戻金よりは少なくなること。この制度は保険会社が支払うことになるお金の一部を貸付ける制度ですから、利用する時点で解約した場合の返戻金が基準になります。学資保険を始めたばかりで返戻金がいくらもないときには利用する意味はありませんのでご注意ください。
また、この契約者貸付で借りたお金の金利は複利が適用されます。金利が安いからといって返済が遅くなれば、年々金利分が大きくなってしまいますので注意が必要です。もっとも、金融機関からお金を借りても複利なのは同じですから、やはり元の金利が低い契約者貸付がお得である事に変わりはありません。
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贈与について
身内からであっても、金銭の授受であれば贈与税の対象となります。贈与税の税額は金額によって変わってきますが、最低でも10%、最高だと55%もの税金を納めなくてはなりません。
ただし、贈与税には基礎控除が認められていますので、基礎控除額以内であれば贈与税はかかりません。また、教育資金を一括して贈与する場合にも1500万円までなら贈与税がかからないことになっています。
教育資金の一括贈与について
1500万円までは贈与税がかからない制度のことで、名前の通り、教育目的のみにしか使えません。また、たとえ教育目的に使ったお金であっても、非課税の対象から外されることがありますので注意が必要です。
・学校の指定品でないと使えない(自分で選んだものはダメ)
学年便りなどの書類を見て、購入を指示されたものと証明できないとダメ
・金融機関に口座を作って支出監理する
領収書など細かくチェックされる
既述の通り、贈与税は年間110万円まで非課税です。ほとんどの教育費はこの110万円以内に収まるはずなので、無理にこの制度を使う必要はないということでした。
教育資金、お金の貯め方3人のFPの意見
実際に、お金の相談を受けているファイナンシャルプランナーの先生方はどのような方法で教育資金を貯めているのか紹介されていました。
自分たちの老後資金
教育費の確保に神経が向いているときに気を付けなくてはならないことは、自分たちの老後の資金にもしっかりと目配せしておくことです。
竹下氏によると、晩婚化+高齢出産というステップを踏んだ夫婦が教育資金にお金をかけすぎると、次は自分たちの老後資金が足りなってしまう事態に陥りがちなのだそうです。
自分たちの老後の資金計画をたてるには、まずは年金がいくら入ってくるのかを年金定期便で調べることから始める必要があります。
老後の生活には月にいくら必要で、年金がいくらもらえて、それで足りるのなら老後のお金はさほど心配しなくても良いでしょう。しかし、足りない場合や不安な場合は
足りない額×想定される老後の年数
で必要資金を算出し、貯蓄額の目標とするわけです。
人生の中で、大きな支出となる費用は教育費、住宅取得費、老後資金の3つと言われています。逆に考えると、この3つの資金の確保さえ道筋をつけておけば、お金の心配がかなりの部分解消することになります。まずは現状を知り、今後の仮説を立てるところから始めてみてはいかがでしょうか?