最近は共働き世帯が増え、夫婦のどちらかが専業主婦(主夫)という世帯よりも多くなっています。
共働きに多いのが財布が別というパターン。
預金はもちろん支出管理も別々で相手の財政状況が全くわからないというパターンです。
しかしこれはちょっとリスクを伴います。
なぜなら、借金があっても把握できません。
預貯金の残高を知らないくらいでは問題はありませんが、もし内緒で借金をされているという場合は状況把握ができません。最悪、気づいたときには借金が大きな額になっているというケースもあります。
また、口座管理を旦那さんにまかせっきりにしていたら、退職金もすっかり使い込まれて老後の資金がないというような笑えないケースもあります。
金遣いがおかしければ浮気などの大きな秘密が隠れているのかもしれません。ガラス張りにしておくことで予防効果も期待できます。
ゆえにお互いの預貯金はオープンにして把握しておくのがベターだといえるでしょう。
一方、共働きではない場合も、留意しておくべきことがあります。
それは、家計が夫もしくは妻どちかの収入に頼っている場合はキャッシュカード類の暗証番号もお互いに知っておいた方が良いということです。
もし、預金名義人が死亡し、預金している金融機関がその事実を把握したらその口座は即座にロック(凍結)されます。
口座をロックされると引き出しはもちろん、預金や口座引き落としなども不可能になってしまいます。
その口座から現金を引き出して生活費に充てている場合や電気料金などの公共料金の引き落としをしている場合は、凍結されることにより支払いが中止されてしまうのです。
他の名義の口座にお金が入っていれば大丈夫ですが、メインの口座以外にはお金がないという場合はうっかりしていると一時的に生活費に困るような事態に陥りかねません。
そうならないためには金融機関に把握される前に預金を引き出しておくのです。
銀行サイドもこうした状況はよく理解しているので、名義人が死亡した後に引き出しをしても、『名義人が死亡しているのに連絡もせずに預金を引き出した』と文句を言ってくることはまずありません。
ただし、相続面での配慮は必要です。仮に、相続する人が複数いる場合には他の相続人の了解を取ってから引き出すようにしないと相続権の侵害ということにもなりかねません。
ちなみに、預金名義人が死亡した日の預金は相続税計算の対象となりますのでその点も考慮しておく必要があります。
もっとも、実際に相続税がかかるのは相当な額を相続する場合です。また、仮に相続税がかかるような多額の遺産があり、相続前に口座から引き出して生活費に充てていたとしても、相続税を10か月以内に税額分収めれば問題ありません。口座から引き出しているとかいないとかは関係ないわけです。
よって、預金名義人が死亡した場合にその名義の預金しか生活費や葬儀費用の原資がないような時には金融機関に届ける前におろせるようにしておいた方が良いでしょう。そのためには暗証番号を知っておく必要があるわけです。窓口でおろそうとしたらばれて下ろせなくなる可能性が少なからずあります。