マイナンバー制度が2015年10月以降、本格的に動き始めます。
2015年10月 通知カード配送
2016年 1月 個人番号カード交付
社会保障、税、災害対策の分野で個人番号(マイナンバー)利用開始
2017年1月 マイナポータル運用開始
自分のマイナンバーについての情報をネットで閲覧可能に
本格運用を前に、マスコミでは不安な声を取り上げて報道することが多くなってきています。
あさイチより
そこで、NHK『あさイチ』で紹介されていたマイナンバー制度についての話を中心に、基本的なことまとめておきます。
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目次
マイナンバーは誰が対象で何に使う?
マイナンバーは住民票ベースで割り当てられる番号です。国籍の有無ではありません。よって、赤ちゃんや子供、お年寄りはもちろん、日本で住民票を持つ外国人にも番号は割り当てられます。番号は12ケタです。
住民票ベースで番号が割り当てられるため、引っ越ししたのに住民票を異動させてない人には番号通知カードが届きません(転送不可の簡易書留で郵送されてきます)。マイナンバーは納税や社会保障の手続き上必要になる番号ですので、近い将来必ず必要になってきます。
現住所と住民票は必ず一致させておきましょう。
マイナンバー(個人番号)の主な使い道は税金や社会保障、災害対応などでの利用となります。例えば、社会保障の手続き上必要だった住民票や所得証明が不要になったりするのですが、こうした仕組みが本格稼働するのは2017年7月からということで、当面は個人的なメリットはないのだそうです。
ただし、ICチップ機能を持つ個人番号カードを持つと、上記以外にもいろいろ便利な使い道がでてくるのだそうです。当然、利便性が上がるということはそれに伴うリスクも増えてくるわけですが、ICチップのついた個人番号カードを持つかどうかは任意ですから状況を見ながらの判断でも良いでしょう。
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導入の背景
あさイチによると、一番大きな理由は"失われた年金問題"なのだそうです。この問題は、社会保険庁のずさんな年金記録の管理によって、
×本来もらえるはずの年金がもらえない
×本来もらえる額よりも少ない額での年金支給になっている
といった深刻な事態を招いており、いまだ多数の未解決案件があるとされています。
また、頻繁に問題となっている年金の不正受給も理由の一つとして挙げられていました。
年金不正受給の代表的な例が亡くなっている人の年金がその後も支給され続けているという事例です。この問題には悪意を持って不正受給をしている家族の存在がありますが、それ以前に、亡くなっているという事実と年金の支給という行政手続きが紐づけられていないことに問題の根本があります。昔からたびたび指摘されている縦割り行政の弊害であり、それらを解消できる方法としてマイナンバー制度が期待されているわけです。
あさイチではこの年金問題を導入理由の例として取り上げていましたが、この他に、生活保護の二重取りなどの不正受給の存在も導入理由の一つとして良く挙げられます。
『マイナンバーはその人に一生紐づけられる番号であり、引っ越ししようが転職しようが結婚して姓が変わろうが、ずっとついて回る番号なので国は管理しやすくなるというメリットがある』ということでした。
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通知カードと個人番号カード、二つのカードがある
あさイチでは、マイナンバー制度をわかりにくくしていることの一つに、カードが二つあることを指摘していました。マイナンバーに関わるカードは、通知カードと個人番号カードの2種類があるそうです。
10月から届けられているカードは通知カードといいます。基本的に、マイナンバー制度で必要になるのはこの通知カードです。逆に言うと、通知カードさえ持っておけば、マイナンバー制度で困ることはありません。個人番号カードはなくても構わないわけです。
ただ、実際に届けられるのは、通知カード部分と個人番号カードの申込部分が一緒に印刷された用紙です。
総務省ホームページより
上記のように、用紙の上部は通知カードで、この部分は切り離して大切に保管しないといけません。
一方、下の部分は個人番号カードという、ICチップ付きのカードの申請書になっているものなので、不要と思えば申し込みをしなくても構わないわけです。
受け取った人は通知カードで自分の個人番号(マイナンバー)はわかるのに、さらに個人番号カードも申し込む必要があるのかと戸惑ってしまうのではないかというわけです。
個人番号カードの必要性
マイナンバー制度で必要になるのは通知カードの部分ですから、個人番号カードは無理に申し込まなくても構いません。構いませんが、個人番号カードにはICチップと顔写真がつきますので、メリットもあります。
大きなメリットの一つに顔写真などによるセキュリティの強化があるようです。
例えばアメリカでは日本のマイナンバー制度のような制度がかなり前から導入されていますが、番号のみで紐づけられているためか、成りすましをはじめとした詐欺被害が後を絶たないそうです。
日本の国税庁にあたる、アメリカ内国歳入庁によると、こうした還付金の「なりすまし詐欺」の被害者は、2015年2月から5月の間だけで、1万3,000人にのぼり、あわせて、およそ46億8,000万円がだまし取られている。
FNNニュースより
顔写真のついた個人番号カードを利用することで、顔による認証も可能になってくるため、こうした詐欺を事前に予防する対策が可能になってくるということでした。
また、ICチップについては、民間企業が提供するアプリを入れることで生活の利便性を向上させるさまざまな取り組みが可能になってくるそうです。
例えば、個人番号カードにクレジットカード機能を持たせたり、キャッシュカード機能を持たせたり、社員証として使ったりといったこともやろうと思えば可能になってきます。
今まで、それぞれのカードは別々に持っていましたが、それらを一つのカードにまとめられるわけです。当然不安もありますが、セキュリティの問題がしっかりしていれば大きなメリットにもなりうるというわけです。
また、ICチップを通して情報をやり取りする際には手数料を国の関連団体に支払う仕組みになるようで、国としても手数料収入を増やしたい思惑からこの個人番号カードの普及に腐心しているのではということでした。このあたりは役人の利権が絡んでいそうで抵抗を感じる人も少なくないかもしれません。
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制度に対する疑義
私たちの生活に大きくかかわってくるものですから、当然、不安や不満といった声もあります。あさイチでは
『個人に対する国家の管理が強化されるのでは?』
『一度情報が漏れると取り返しがつかないことになるのでは?』
といった話が出ていました。反対派の中には、プライバシーの侵害にあたると訴訟準備をしているところもあるそうです。
また、通知カードだけでなく個人番号カードという機能てんこ盛りのカードを最初からいきなり提示してきてそちらに誘導しようとしている点にも疑問の声が出ていました。個人番号(マイナンバー)があれば本来の目的は達成できるわけですから最初は通知カードだけにしておけばよいのにと思ってしまうわけです。
『ICチップ付きの方は本来の趣旨からは外れているのではないか?』
というような指摘も出ていました。
とはいえ、マイナンバー制度はもう走り始めていますので、IC機能がついている個人番号カードについては、今後出てくる情報を見極めながら判断していくしかなさそうです。