今、年金生活者が住宅ローンが払えなくて老後破綻ともいえる状況に追い込まれるケースが増えているそうです。
住宅ローンが支払えない場合、任意売却という手続きを取るケースがあります。これは、債権者(銀行等)、債務者(ローン利用者)、双方同意の上で不動産業者に仲介してもらい、担保物件を売却することをいいます。比較的市場価格に近い金額で売却できるため債権者・債務者双方にメリットがあるとされています。
現在、この任意売却の相談件数が増えているそうで、任意売却119番という相談機関には年間5000件もの相談があるのだとか。そして最近特に多いのが年金生活者がローンを払えなくなる、いわゆる"老後破綻"なのだそうです。
老後破綻に追い込まれた人は病気やリストラといった不本意な状況に追い込まれたために支払が滞ったというケースが多いですが、中には見通しの甘さに起因していると言わざるを得ない場合もあるようです。テレビ朝日系列のスーパーJチャンネルで老後破綻について特集が組まれていましたのでそこで紹介された事例をまとめました。
事例1
妻:60代
経緯
23年前に高校生の息子がいる今の妻と結婚
30年ローンでマイホーム購入
息子が結婚しマンションを購入、家を出てしまう
夫婦の現在の収入は月20万円(年金+アルバイト)
住宅ローンは月に21万円
誤算だったこと
息子がローンを引き継いでくれると思っていたが、息子は結婚したら早々にマンションを買って家を出てしまう。親の面倒も見ないということで、ローンの支払いのあてがはずれる。夫の心づもりでは、老後は年金プラス息子が7万~8万のローン負担をしてくれると思っていた。
今後の方向性
家の評価額は1500万円だがローン残高も1500万円
さらにリフォームローンが500万円残っている状態
つまり、差引500万円の借金が残るが家を売却する方向
事例2
経緯
4LDKの分譲マンションを18年前、40代の時に購入
2600万円を35年ローン(80歳近くまで)
月々7万円+ボーナス時30万円を返済
誤算だったこと
退職金を事業につぎ込み失敗したうえに、二人の息子が引きこもりで無収入状態のまま
今後の方向性
収入が年金(2か月で12万)+パート収入で計25万弱。月々の支払は何とかできるがボーナス払いができない状態のためローン破綻で売却。家族はバラバラになり解散。
事例3
11年前に40代の息子が両親と同居するために3階建ての4LDKを購入
3500万円を35年ローン(月々10万円の返済)
5年前に息子夫婦が離婚
息子が交通事故で仕事ができなくなる
母親が脳出血で半身まひ(要介護)
父親が認知症発症し徘徊癖が出る
誤算だったこと
住宅購入時は息子夫婦は共働きで、母親もパート勤めの収入がありローン支払いに困ることはなかった。しかし、その後に離婚や病気で収入が得られなくなってしまった。
今後の方向性
現在の収入は両親の年金16万円のみ。ローンの支払い(月10万円)ができずに売却。家賃6万円の2LDKのアパートで暮らすことに。
団塊の世代が続々と定年し老後生活に入っていってますが、中には70歳、80歳になるまで住宅ローンを払う契約をしている人がおり、そういった人の中には想定外の出来事により老後破綻の状態に陥ってしまう人が増えてくるのではとみられています。
番組で紹介されていた3つの事例では、3番目の方のように運が悪いという側面が強い方もいらっしゃいますが、事例1の方は完全に見通しが甘かったと言わざるを得ませんし、事例2の方についても自力での返済を想定しきれてなかったのではという見方もできます。
基本的にローンは自分の代で返せる分だけ組むということ肝に銘じておく必要がありそうです。