マイナンバーのメリット・デメリット~そこまで言って委員会NPより

今年秋からの稼働(通知)が決まっているマイナンバー制度。報道が少なくて私たち国民の中での認知度も今一つ低いようですが、これは国民にとっては大きなインパクトのある話です。読売テレビの『そこまで言って委員会NP』でマイナンバー制度が取り上げられていましたので、補足事項も加えつつ要点をまとめてみたいと思います。

マイナンバーとは?
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。

内閣官房『マイナンバー社会保障・税番号制度』より

マイナンバーを導入することによるメリットとして、国は、公平・公正な社会の実現、国民の利便性の向上、行政の効率化の三つを挙げています。

公平公正な社会の実現とは税金や社会保険料の未納や、各種給付金の不正給付の防止を指しています。また、国民の利便性や行政の効率化とはマイナンバーで煩雑な手続きが簡素化できるということを指しているようです。

確かに国民一人一人を書類上で識別していくには一元管理できるマイナンバーのようなものがあると漏れもないですし手続きも効率的に行えます。確定申告時の煩雑さが軽減されるだけでも大きなメリットと感じる人は少なくないでしょう。また、今まで漏れていた税金や社会保障料もしっかりと徴収でき、財政上のメリットも大きくなります。

ただし、リスクも内在しているとの見方も多くの識者が指摘しています。
番組では、『国家による国民監視システム』『個人情報が丸裸にされる』といった見方が紹介されていました。

かつて、ナチスドイツでは国民に番号を付けることでユダヤ人を選別し、ホロコーストに繋げていったそうですし、アメリカでは番号を盗まれてカード負債を背負わされる事件も跡を絶たないそうです。

さらに、マイナンバー制度では、捜査機関には裁判所の令状なしで個人の情報を提供できることとなっているそうで、それなりの立場にある人たちであれば、比較的簡単に個人の所得などの情報が見れるわけです。ただちに何か不正が起こるとは思いませんが、そのうち立場を悪用して犯罪に手を染める人が出てくるのではないでしょうか?

また、これは良いことではありますが、ちょっと窮屈に感じる人もいるであろう事例も紹介されていました。

例えば親子間のお金のやり取り。
子供が結婚するからと結婚費用を子供の口座に振り込む、マイホームを新築したり購入したりするからと援助金を子供の口座に振り込む、こういったことは比較的広く行われていることですが、金額によっては贈与税の対象となってきます。
しかし、庶民の場合、たとえ贈与税の対象になるべき額であったとしても本人にその自覚がないために申告しない、また、税務署もその事実を補足できず、結果として徴収されるべき贈与税が徴収されずじまいなんてことが実は結構あると言われています。マイナンバー制度が厳格に運用されるようになると、このあたりの漏れもなくなり、お金を振り込んだ時点で贈与税対象であれば自動的に徴収される、なんてことも有り得るそうです。贈与税に関する知識がない場合だとちょっと損した気分にはなるでしょう。
他には離婚した夫婦がそれぞれ子供を扶養に入れているように申請して扶養控除などの恩恵を受けるケースなども紹介されていました。

もっともこれらのことは、本来納めるべき税金であったり、本来受けてはいけない恩恵であったりするものですから、このことをもってマイナンバー制度導入に難色を示すのは筋違いです。

以下そこまで言って委員会NPのパネラーの方々の意見です。

中田宏氏
住基ネットの時は大反対だったマスコミも今回は静かだが、かなり準備不足だった住基ネットの時よりも今回の方がよほど怖いものを感じる。そもそも、当初は”税務・社会保障・災害対策”の三つだけだったのが、運用前段階なのにすでに法改正してマイナンバーを預金口座と紐づけるようにしている。
さらに、今回までの確定申告は債務・財産の申請書は今は任意だが来年から強制になる。
また、去年(2014年)から外国資産5000万円以上は資産届けを出さなければならなくなっており、すでにつかまった人も出ている。
つまり、『この国の財政はもたない』と財務省が完全に判断し、国民からの税収に網をかぶせ、どうにでも税収を確保できるように捕捉していく。システムとして増税したら即入ってくるようにしていく方向で動いているのではないか。

『マイナンバーを預金口座と紐づけるようにしている』というのは以下の記事でわかります。

政府は10日の閣議で、日本に住む全ての人に割り振る社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を預金口座に適用するマイナンバー法改正案を決定した。2018年から預金者に対し、任意で銀行への登録を呼びかける。

日経デジタルより

とはいえ今はまだ任意の段階です。中田氏は『任意だから十分な数が集まるわけはなく、義務化になっていく。』とも発言しており、それは麻生大臣の発言にも表れています。

麻生太郎財務相は10日午前の記者会見で「(税の)徴収にも利用できて公平適正な納税につながる」と意義を強調した。そのうえで「告知義務がないと普及しないじゃないかという指摘は承知している」として、3年後の21年をめどに義務化を検討する考えを示した。
日経デジタルより

また、債務・財産の申請書とは財産債務調書のことと思われます。

富裕層の中でも、1億円以上の有価証券を保有する人を対象に、平成28年1月1日から、財産債務調書(12月31日時点の財産と債務を申告する書類)への記入を義務化する改正案が、国会で審議されることがわかった。

ゆかしメディアより

外国資産5000万円以上は資産届け云々の話は以下のことでしょう。

税の申告漏れ防止を目的に今年末から、国外に5千万円を超す財産がある人は国外財産調書の申告が義務付けられる。今年分の提出期限は来年3月17日。

日経デジタルより

ただ、つかまった人も出ているというはよくわかりませんでした。おそらくは、インサイダー取引で逮捕された会社社長がこの届けを提出していなかったので重加算税を課されたという話だと思いますが、だとしたら”捕まった”というのはちょっと誤解のある表現かもしれません。資産届けを提出してないから捕まったわけではなく、インサイダー取引で捕まったわけですから。

次は末延吉正氏の話です。

末延吉正氏
マイナンバーを口座に適用するまで3年の猶予期間を設けている。従来のクロヨンで税を逃れてきた人に3年の間に口座の整理をするよう促しているのでは?
世界でマイナンバーやってない国はない。

クロヨンというのは以下の説明が良くわかります。

クロヨン(9・6・4)とは
本来課税対象とされるべき所得の内、税務署がどの程度の割合を把握しているかを示す数値を捕捉率と呼ぶ。この捕捉率は業種によって異なり、給与所得者は約9割、自営業者は約6割、農業、林業、水産業従事者は約4割であると言われる。このことを指して「クロヨン」と称する。

ウィキペディアより

長谷川幸洋氏
社会保険料未納が10兆円はくだらないと言われている。これは消費税5%相当分が取りっぱぐれていることになる。そういうことを考えても、マイナンバー制度は公平性の点から良いこと。
ただしすでに稼働している住基ネットとの絡みからいえばこれは無駄。コンピュータ会社を儲けさせるだけ。

情報が漏れるなどの問題もあるが、そもそも、国家が国民の所得を把握するのはすごく大事なこと。2017年の消費税の再増税の際に軽減税率が話題となっているが、そんな面倒なことしなくても、国家がきちんと把握していれば低所得の人は税金免除しますといったことが可能になってくる。

例えば、自営業者が専従者の扱いについて、社会保険事務所には『名前だけの役員だから』といって保険料の支払いを免除してもらい、税務署には『毎日何時間も業務しているから』と言って専従者給与をしっかり取るというような場合の矛盾も今後は通用しなくなるかもしれません。

加藤清隆氏
既に実施しているアメリカでよかったのは、減税となると2週間以内に減税分が小切手で送られてくる。税額を把握しているからできること。
マイナンバー制は税金逃れをしている犯罪者が困るだけの話では。
情報漏えいは問題だが、このマイナンバーの仕組みそのものは導入すべきこと。
竹田恒泰氏
この問題はいろいろと考えないといけない。確かに世界の流れはナンバリングの方向にあるが、漏れるときは人権問題に直結する情報が一括で流れることになるので、被害が大きくなる。
イギリスでは人権尊重の観点から国民IDカード法が廃止されたし、ドイツでは限定的な運用に縮小していこうとしている。どんなに厳重に管理していても情報というのは漏れることがある。情報が漏れるとその人に完全になりすますことができる。アメリカでは被害拡大して問題になった。
税金の取りっぱぐれがなくなるというが、本当に個人事業主からきちんと取れるのか。マイナンバーがあってもどうにでも逃げることができる。
アメリカではビットコインが広く使われていて、マウントゴックス問題で急落したビットコイン相場もすぐに戻って安定している。アルゼンチンではコンビニでビットコインで支払いができるようにもなっている。ビットコインで口座を持つと国家なんか関係なく世界中にお金を動かすことができるようになる。
辛坊治郎氏
ビットコインについては、売買時にマイナンバーがないと取引できないような規制をかけるはず。

ビットコインについてはマウントゴックスの問題で悪い印象を持った人が多いですがアメリカなどでは決済手段としての認知度も高く、企業ベースでは決済手段としてビットコインを取り入れるところも拡大しています。また、ドルなどの通貨と両替する際の相場も一時的な乱高下はしても上昇しているようです。

手軽さや利便性の高さが人気で、開発からわずか4年の2013年4月には流通量10億ドルを超えるまでに成長した。

コトバンクより

リアルタイムビットコイン

しかし、今後通貨に変わりうるかといえばちょっと微妙です。辛坊氏の言うように国家が何等かの規制をかけてくる可能性が大だからです。

ビットコインを肯定的にとらえ、正式な「通貨」として認めている国や地域は一つもありません。そして、公式にビットコインの存在を肯定するような姿勢を示している国・地域もほとんどありません。

GIGAZINEより

ビットコインに対する否定的な立場を公式に表している国として中国が挙げられています。中国人民銀行は2013年12月に国内の金融機関に対してビットコインを利用した金融サービスを禁止する旨の通達を出しています。この政府機関の発表が引き金となってビットコイン相場が急落するという事件が起こったことは記憶に新しいところです。

GIGAZINEより

ブラジルではビットコインを直接規制するというわけではありませんが、事実上、ビットコインを禁止する内容となっています。

GIGAZINEより

オーストラリアやインドでは、今後、規制していく方針であると報告されています。

GIGAZINEより

肝心の日本はどうかといえば、今のところは何の規制もありません。

日本のビットコインへの対応はと言えば、日銀の黒田東彦総裁が記者会見の場でビットコインについて聞かれた際に、「大いに関心を持っている」と発言しており、日銀金融研究所で調査・研究中であることが判明していますが、否定・肯定いずれの立場であるかは依然として明らかにはなっていません。

GIGAZINEより

というわけで、最後はビットコインの話になってしまいましたが、『そこまで言って委員会』の人たちはおおむねマイナンバーに肯定的な意見でした。

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