相続をわかりやすく解説~チェックしておくべき死亡後手続きの流れ

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相続は誰にでも必ず発生します。しかし、相続が発生したら、何をしなければならないのかを理解している方は少ないのが現実です。
それ以前に、誰に聞いたら良いのかわからない、何を聞いたら良いのかわからない、という人の方が圧倒的に多く、結果として私には未だ関係ないと、先送りしてしまっているのが実情ではないでしょうか。人は必ずどこかで人生の終焉を迎えます。相続に関する疑問を先送りすることは、残される家族にとまどいや苦労をそのまま押し付けるだけに過ぎないことを理解しましょう。今からでも遅くはありません。無責任に先送りする前に、まずは相続に関する基本的な手続きを通してその概要を理解し、終活や相続対策の第一歩を踏み出してみては如何でしょう。

一般的な相続の流れ

相続が発生したら、いったいどのような手続きをしなければならないのでしょう。以下に時間軸に沿って、一般的な相続の流れをご紹介します。

亡くなった直後

まずは何をおいても、故人の葬儀を執り行わなければなりません。

葬儀社を決める → 仮通夜 → 葬儀打ち合わせ → 納棺、通夜、葬儀・告別式 → 出棺 → 火葬 → 初七日法要 → 四十九日法要(要・香典返し)
( 死亡届の提出、火(埋)葬許可申請 )

なお、地方によっては通夜の後、葬儀・告別式の前に、火葬を済ませる地域もあります。この段階での手続きは、おおよそ葬儀社がアドバイスしてくれますので、肝心の葬儀社を決めることが最も大きな問題と言っても良いでしょう。なお、病院で亡くなった場合、病院が提携している葬儀社を紹介してくれるケースが多いのですが、安易に決めると後でトラブルになり、後悔するケースも少なくありません。

例えば、病院が斡旋する葬儀社は、その病院付近をエリアにしている事が多く、自宅が病院から近いなら問題ないでしょうが、遠い場合はその後の葬儀等一連の手続きを考えると、時間的にも費用的にも余計な負担を増やしかねません。

又、その後に控える葬儀社との打ち合わせにも注意が必要です。葬儀社は、葬儀の費用をパック料金で提示する事が多いのですが、このパック料金と実際の葬儀費用に雲泥の差があるのはもはや常識です。追加費用の方がパック料金よりも多いことすら、決して珍しくはないのです。肉親を失って動揺している時に、葬儀社から「故人の為にも…」とか、「よそさまでは…」などと持ちかけられたら、世間体も有り、ついその気にもなってしまうでしょう。

しかし、もしも故人が生前に、自分の意思をしっかり示していてくれたとしたら、どんなに救われる事でしょう。可能であれば、自分自身で終活の一環として、予め葬儀社を決めて置き、良く打ち合わせをしておくことが望まれます。

その他、こうした葬儀と並行して行わなければならない法律上の手続きもあります。
葬儀社が代行してくれることも多いのですが、故人の死亡日、または、死亡したことを知った日から7日以内に、死亡地、故人の本籍地、または住所地のいずれかの市区町村役場に、医師の死亡診断書を添付して、死亡届を提出しなければなりません。死亡届書は市町村役場か病院で入手でき、死亡届の手続き終了後、火(埋)葬許可証が発効されます。なお、火(埋)葬許可証は、5年間保管しなければならないことを覚えておきましょう。

相続があったことを知った日から3ヶ月以内

故人の遺産をそのまま引き継ぐ(単純承認)か、条件付きで引き継ぐ(限定承認)か、あるいは全く引き継がない(相続の放棄)かを決めなければなりません。その為には、誰が相続人なのかを特定し、遺産の内容を調査することから始めます。遺言書の有無についても確認が必用です。
 

相続人の特定 → 遺言書の確認 → 遺産の調査 → 相続の放棄、限定承認、単純承認

相続人の特定
相続人を特定する為には、故人の生まれた時から亡くなるまでの、すべての戸籍を取得しなければなりません。戸籍は本籍地を移転する度に新しく作成されますので、本籍地のあったすべての役所から取得する必用があります。また、すべての戸籍を取得しないと、銀行口座も凍結されたままで、預金を引き出すこともできません。

遺言書の確認・検認
遺言書には公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、公正証書遺言は公証人役場に保管されていますが、他の形式の遺言書については、保管場所が決められている訳ではありません。また、遺言書が見つかった場合は、相続人立ち合いのもとで家庭裁判所で開封し、検認を受けなければなりませんので注意しましょう。

相続財産の調査
相続財産は、預金や株式等の有価証券、不動産だけではなく、ローンや未払金等の債務も対象となります。相続財産を整理して把握する為には、遺産目録を作ると良いでしょう。

相続放棄・限定承認の申し立て
相続財産が、預金等の財産より借金等の債務が多い場合は、何もしなければ債務もそのまま引き継ぐことになります。そのような場合は、相続放棄の手続きをすることで、財産も受け取れない反面、債務も引き受ける必要がなくなります。また、限定承認の手続きをすれば、受け継いだ財産の範囲分だけ債務を支払えば良いことになります。いずれも、相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申請書を提出しなければなりません。なお、相続放棄は各相続人単独でも可能ですが、限定承認は相続人全員で手続きする必用があります。一方、正規の手続きを経ないで遺産の一部を流用すると、相続の放棄や限定承認は認められず、何もしなかった場合は単純承認したことになります。

相続があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内

故人の亡くなった年の1月1日から、亡くなった日までの所得を申告しなければならず、これを準確定申告と言います。

故人の所得税の準確定申告

相続があったことを知った日から4ヶ月以内に、故人の住所地の税務署に提出します。なお、申告用紙は通常の確定申告の用紙を使用しますが、各相続人の氏名、住所、故人との続柄等を記入した別表を添付します。

相続があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内

相続税の対象になる場合は、その申告を相続発生から10ヶ月以内に行わなければなりません。相続税の納付期限も同じです。

 遺産分割協議 → 遺産分割 → 遺産の名義変更 → 相続税の計算 → 
申告書作成・納付

遺産分割協議書の作成
遺言書があれば、原則として遺言書に基づいて遺産を分割しますが、無い場合は、相続人全員で協議し、遺産分割協議書を作成します。なお、相続人全員が同意すれば、遺言書と異なる内容で分割してもかまいません。また、相続人の中に未成年者がいる場合は、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てなければなりません。

相続財産の名義変更
遺産分割協議がまとまると、相続財産の名義変更をします。一番複雑なのは不動産です。相続した不動産の名義変更は、現在は未だ義務ではありませんが、法務局へ提出します。

相続税の申告と納付
平成27年1月の税制改正により、基礎控除額が大幅に引き下げられ、相続税支払いの対象になる方が増えていることに注意が必用です。また、仮に納税が遅れると、別途延滞税が発生することも覚えておきましょう。

相続があったことを知った日から12ヶ月以内

遺言による指定相続分は法定相続分に優先するとはいえ、あまりにかたよった内容では残された家族が困ることもあります。そこで民法では、一定の相続人のために最低限相続できる割合を定めており、これを遺留分と言います。

 

遺留分減殺請求(必ず内容証明を相手に送る)

遺留分権利者は、配偶者、子、直系尊属のみで、兄弟姉妹には認められていません。また、遺留分として認められる割合は、配偶者と子は法定相続分の1/2、直系尊属は1/3になります。なお、遺留分権利者が侵害された権利を取り戻す為には、遺留分減殺請求をする必要があり、この遺留分減殺請求権は、遺留分が侵害されたことを知ってから1年以内に行使しなければなりません。なお、例え知らなかったとしても、10年経過すると時効になります。

その他覚えておきたい相続に絡んだ社会的手続き

相続が発生すると、日常では無縁な実に多くの手続きを、それぞれ定められた期限までに行わなければならないことをご理解いただけたと思います。一方その内容は、葬儀や相続自体に直接関連する法律上の手続きだけではありません。故人も生前は、生活を営むうえで多岐にわたって社会と関わりを持っていました。そうした社会的契約関係などについても当然手続きが必用です。こうした手続きの分類の仕方は色々ありますが、「亡くなった方のために必用な社会的手続き」「相続する方にとって必要な社会的手続き」に分けて考えるとイメージし易いでしょう。以下に一般的に必用な社会的手続きを一覧にしてみます。また、どなたにもあてはまる訳ではありませんが、既に記載した法律上必要な手続きについても一部補足します。

亡くなった方のために必用な社会的手続き

項目 期限 備考
世帯主変更届
*故人が世帯主の場合)
14日以内 故人の住所地の市区町村役場
公的年金受給停止の手続き 14日以内 役所または年金事務所
水道の契約者の変更 原則3年以内 所轄の水道局
健康保険証(喪失・変更) 速やかに 故人の住所地の市区町村役場
電気・ガスの契約者の変更 速やかに 契約先の電気会社・ガス会社
NHK受信料の契約者の変更 速やかに フリーダイヤルの受付窓口
シルバーパスの返却 必用に応じ速やかに 故人の住所地の市区町村役場
死亡退職届(勤労者の場合) 必用に応じ速やかに 故人の勤務先
最終未払給与・死亡退職金
*勤労者の場合
必用に応じ速やかに 故人の勤務先
携帯電話の解約 必用に応じ速やかに 契約中の電話会社
クレジットカードの解約 必用に応じ速やかに クレジットカード会社
各種会員証 必用に応じ速やかに 会員証発行会社
リース・レンタル変更 必用に応じ速やかに 各リース・レンタル会社
保険契約 必用に応じ速やかに 各保険会社
パスポート 必用に応じ速やかに 都道府県庁又は出張所
運転免許証(返納、取り消し) 必用に応じ速やかに 最寄りの警察署

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相続する方にとって必要な社会的手続き

預・貯金口座の凍結・解約 速やかに 各金融機関
出資金・株券・債権 必用に応じ速やかに 各金融機関
自動車・自動車保険 必用に応じ速やかに 所轄の陸運局事務所、各保険会社、または、代理店
火災保険の名義変更 必用に応じ速やかに 各保険会社、または、代理店
借金(ローン、クレジット) 必用に応じ速やかに 借入先
インターネットプロバイダー 必用に応じ速やかに 契約中のプロバイダー会社
死亡一時金の請求 2年以内 故人の住所地の市区町村役場
葬祭費の請求 2年以内 故人の住所地の市区町村役場
埋葬日の請求(社会保険) 2年以内 各保険者
高額医療費の請求・還付 2年以内 各保険者
入院、手術給付金の請求 原則3年以内 各保険会社
生命保険・損害保険 3年以内 各保険会社
簡易保険 5年以内 各保険会社
遺族未支給年金 5年以内 年金事務所
遺族厚生年金、遺族共生年金の請求 5年以内 年金事務所
労災遺族給付の請求
*労働災害の場合
5年以内 勤務先、または、労働基準監督署
住居の賃借契約 必用に応じ 大家、不動産会社など
住宅ローンの引き受け 必用に応じ 借入先

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法律上の相続手続き補足

会社役員の死亡登記 必用に応じ速やかに 法務局
根抵当権の引き受け 必用に応じ 借入先、及び、法務局

終活は家族に対する最後で最大の思いやり

終活という言葉を、最近良く耳にする様になりました。終活とは、具体的にどんな準備をするのでしょう。終活でやるべきことは、人によっても変わってきますが、大まかには「エンディングノートを書く」「葬儀の生前準備をする」「荷物を生前に整理する」と云ったところが一般的と言って良いでしょう。
自分にとって大切なことは何か、何を優先してやるべきかということは、物事をきちんと整理してからでなければわかりません。 そういった意味からも、まずはエンディングノートを書きながら、整理してみては如何でしょう。
いずれにしろ終活は、ご家族に対する最後で最大の思いやりと言って良いでしょう。同時にそれは、充実した老後を過ごす為の活動でもあることは間違いありません。

まとめ

まだまだ終活や相続の準備などしなくても大丈夫、と先送りしている人は多いでしょう。しかし、死は年齢に関わらず、いつ訪れるかはわかりません。終活や相続の準備は、元気な時にしかできません。逆に元気なうちから準備すれば、残される家族の心労や負担を和らげ、争族を防止し、節税対策の選択肢も広がります。後で後悔しないよう、今からしっかり準備しておくことをお勧めします。

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