仮想通貨バブル~仕組みとトラブル、分裂騒動~NHKクローズアップ現代より

「仮想通貨」という言葉も一般化してきた昨今、「仮想通貨の取引で大きな利益を得た」という話が出て来るなど、話題を集めています。

実際にビットコインなどの仮想通貨は高騰し続けているのですが、一方で急激な下落を見せるときもあり、一部ではこの現状を「バブル」と評する声も出てきています。

今回は、仮想通貨についてとりあげていた『NHKクローズアップ現代』を中心に、仮想通貨に関する情報をまとめていきたいと思います。

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仮想通貨の現状

仮想通貨はデータとしてのみ存在するお金で、パソコンやスマホを利用すれば銀行を介さずに、世界中に送金ができるという特徴があります。

種類は今や1000以上もあり、これらの取引価格が軒並み急上昇しています。

その仮想通貨の代表格が「ビットコイン」で、今や全国で数千の飲食店などでも支払いに使用できるなど、急激に普及してきています。番組で取材していた大手家電量販店でも、ビットコインでの支払いが可能になりました。

客側の端末から店側の端末にビットコインを送り、支払いをすることができます。

NHKクローズアップ現代より

一般の生活に浸透し始めた仮想通貨ですが、投資目的で購入して利益を得る人も増えています。

番組で取材していた40代の主婦は、利益を40倍にまで膨らませたそうです。株などの経験がない投資の素人だったそうですが、将来のための貯蓄を増やそうと考えていた際に、仮想通貨に興味を持ったそうです。取引所を通じて4万円分のビットコインを購入すると「あれよあれよという間に増えていった」そうで、その利益を元手にして他の仮想通貨も購入したそうです。すると、それらの通貨も値上がりしていって、たった5ヶ月で150万円にまで膨らんだそうです。

都内の仮想通貨取引所では、月ごとの取引額が昨年の60億円から1700億円に増えているそうで、これは実に28倍の増加率です。

2017年の年明けには1ビットコイン=11万円でしたが、4月以降に急上昇をはじめ、5月には34万円を超えました。

NHKクローズアップ現代より

他の仮想通貨も含めると、今や国内で100万人以上が仮想通貨の取引をしており、コインチェック取締役の大塚雄介氏によると「昔は東京の20〜30代のITに強い方が買うイメージだったが、いまは地方の60代の方など、老若男女、多くの方が使っているような市場に入ってきた」といいます。

その中には、億単位の利益をあげる「億り人(おくりびと)」と呼ばれる人たちも登場しています。

NHKクローズアップ現代より

IT企業でシステムエンジニアとして働いていた億り人の男性は、生まれたばかりの値が低い仮想通貨に注目して利益を上げていきました。それぞれの技術的な情報を読み解いて、値上がりが見込めるものだけを購入してきたそうです。

月に1度、仮想通貨投資に関する情報をネット上に配信しているこの男性は、仮想通貨投資について「ゲームとして戦略の幅が出てきて面白い。ゲームのスコアくらいにしか考えていない」と話していました。

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なぜここまで高騰したか

ここまで高騰したのは、仮想通貨のシステムに原因があります。

円やドルは中央銀行が発行量をコントロールしていますが、主な仮想通貨には管理者が存在せず、利用者同士で運営するシステムを採っています。管理者がいない代わりにプログラムで発行量が定められているため、価格が需要に左右されやすく、どうしても騰落が激しくなりがちになります。

番組に登場した専門家の岩下直行氏によると「4月に仮想通貨法(改正資金決済法)が施行されて、仮想通貨に法的な根拠がついたように思われた。ビットコイン以外の仮想通貨にはあまり価値が無いと思われていたが、ビットコインで他の仮想通貨を買って、またその仮想通貨で別の仮想通貨を買うという感じでグルグル回って、価値が上がってきている」という状況だそうです。

半年ほど前までは1000億円ほどしかなかったビットコイン以外の仮想通貨が5兆円まで膨らんできているこの状況について、岩下氏は「事実上バブル状態といえるのでは。皆がキャッシュにしようとしたら、その瞬間暴落してしまう」と指摘していました。

本間善實氏は「値上がりが値上がりを呼んでいる状況で、いつまでも続くものではない。根拠なき熱狂。技術的な裏付けのない仮想通貨も上がっているので、いつバブルが崩壊してもおかしくない」と分析していました。

トラブルに遭う人も

2年前に仮想通貨の投資に関するセミナーに参加した方は、まだ市場に出る前の仮想通貨の購入を勧められました。当時は「放っておくだけで2〜4倍になるよ、という話も嘘に聞こえなかった」そうで、120万円分を購入したそうです。

しかし、市場に出回るとされた日に発行元からメールが届き、そこには「オープンできない」と書かれていました。この通貨の発行元である会社は、イギリスのロンドンにオフィスがあることになっていたのですが、番組の取材班がそこを訪ねてみるとそこはレンタルオフィスで、実際にはそのビルで業務をしていたわけではないことが明らかになりました。さらに登記情報を調べると、仮想通貨を市場に出す前にこの会社は休眠状態になっていたこともわかったそうです。

男性が購入した120万円分の仮想通貨は今でも使用できず、返金もしてもらえていないそうです。

このようなトラブルが増えた結果、国民生活センターへの相談が急増し、昨年847件あった相談が、今年は半年ほどで既に539件の相談が寄せられているそうです。

本間氏は「(他の金融商品は)低金利で夢がない中で、夢のある話があるので飛びつきやすい。リスクが理解されていなくて、技術の裏付けのないものも買われている」と分析していました。

 

その他のトラブル例
国民生活センターに寄せられた事例には、以下のようなものがあるそうです。

・ 知人から「5倍以上の価値になる」と誘われ仮想通貨を購入したが、約束通りにお金が戻ってこない
・ 知人から「半年で価格が3倍になり、販売元が全て買い取る」と言われて仮想通貨を購入したが、言われたとおりに買い取ってもらえない
・ セミナーに参加し、「1日1%の配当がつく」と言われて仮想通貨を預けたが、説明通りに出金できない

 

あるセミナーでは「米国の名門大学研究員らが開発」、「破綻(はたん)のリスクを限りなく排除」などの宣伝文句で、仮想通貨の購入を促すそうです。

日本国内で資金決済法上の仮想通貨と法定通貨との交換を行うには、「仮想通貨交換業」の登録が必要であると仮想通貨法によって定められていますので、契約を決める際にはその点も必ず確認するようにしましょう。

参考:
国民生活センター「仮想通貨の購入トラブルにご注意」
仮想通貨トラブル
仮想通貨トラブル被害者4割が高齢者

 

 

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ビットコインの分裂

このような状況の中で、話題となったのが8月のビットコイン分裂のニュースです。

その背景にはビットコインの取引量が一気に増えた結果、情報処理が追いつかず、支払いの際などに時間がかかるようになっている現状があります。

管理者がいない中、システムの改良を探る2つのグループからそれぞれ独自の改善策が提示され、意見の対立が起こったのです。

混乱を避けるため、都内のビットコインの取引所では一時的にビットコインの受け入れや引き出しを止めました。飲食店の一部ではビットコインの支払いが一時的にできなくなったという混乱も起きたそうです。

システムの改良を提案するカナダの会社は、処理が追いつかなくなった状況を解決するために、ひとつひとつの取引データを小さくして軽くする案を提唱しています。これによってやり取りが素早くなり、安全性も高まると主張します。担当者は「支持が集まれば我々の案が残っていくでしょう」と自信を持っている様子でした。

まったく違う解決案を示すのは、中国の内モンゴル自治区にある会社です。取引データは小さくせずに記録容量を拡大する案を提唱しています。

この度の分裂騒動について、本間氏は「影響は軽微で、パニックになるような必要はない」と冷静に分析していました。「市場で競争して、利便性とセキュリティを求めてユーザーがどう反応するかで競争していく」とみられるそうです。

これは必要な過程だ、と考える専門家もいます。

早稲田大学大学院の岩村充氏は「ビットコインは自分で自分の動き方を決めて、しかも特定の管理者がいないという構造の中で動いている。でも、時代が変わって要請が変われば、スペック、特徴、設計は変わったほうがいい。どうやって変わるのかというと、ふつう分裂して変わる」と話し、この騒動の必然性を説いていました。

岩下氏も「いまは実験段階。ビットコインも完璧なものではない」との考えを示していました。

仮想通貨の今後について

岩下氏は今後について「(仮想通貨の登場によって)世界がインターネットでつながっていて一体になっている。その中でお金を使うことができて、従来、国境によって制限されていた競争が取り払われてしまう。中央銀行や大手銀行も(仮想通貨を)研究しながら、競争に打ち勝たなければならないという状況」と解説していました。

今後のわれわれの日常生活の変化については、「取引が行われる時の安定化が行われ、ものの価格の差が出なくなるなどの変化が生じて、市場の機能がより働きやすくなる」との見解を示していました。

多くの人が抱える「仮想通貨とどう付き合っていけばいいか」という疑問点について、本間氏は「非常に難しい商品でハイリスクハイリターンなものだが、よくわかった上で付き合って欲しい。投資するなら調べて投資すべき。一方で、ビットコイン、ブロックチェーンは、各国の中央銀行とメガバンクとベンチャービジネスが技術開発にしのぎを削っている成長分野なので、成長分野として積極的に開発にコミットするというのもアリ」と道筋を示していました。

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まとめ

今回の分裂騒動は、私たちの“未来のお金のあり方”を探る過程に起きた変化であるようです。
仮想通貨に投資をする方はもちろん投資をしない方も、その存在には今後も要注目です。

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