世の中には、借金癖がある人がいます。
自分の収入の範囲内では満足できず、ついつい金融機関などから借り入れをしてしまい、それが常態化している人たちです。
お金を借りることは悪いことではありません。
収入のある人が、今後の収入を当て込んでお金のない時期をしのぐことはやむを得ない場合もありますから、それ自体が責められるべきではないでしょう。
しかし、明らかに返済の目途が立たない、あるいは非常に長期にわたっての返済を余儀なくされるのであれば、その借金は本当に必要か慎重に検討しなければなりません。
なぜなら、借金癖のある人の多くは家族持ちであり、奥さん(旦那さん)や子供、両親などに心配をかけながらも借金を止められない人たちです。
家族にとって、身内の借金問題は他人事ではありません。
お金の流れが滞ってしまえば、最悪、一家離散なんてことにもなりかねません。
借金をする人だけの問題にとどまらないのです。
そこで、なんとか借金させない、借金を止めさせる方法はないものかと思案する人に検討してもらいたいのが、『貸付自粛制度』です。
目次
貸金業者に『貸し付けしないで』と届け出る制度
貸付自粛制度とは、一定期間、『お金を貸さないように』という情報を個人信用情報機関に登録し、お金を借りれないようにする制度です。
個人信用情報絡みで"お金が借りられない"というと、事故情報、いわゆるブラックリストがあります。
これは、借金の返済が滞った場合に『返済遅延』の情報が登録されることを指し、いったん事故情報が登録されると、7年~10年程度は新たな借金ができなくなります。
対して貸付自粛制度とは、借金をする本人サイドからの依頼に基づいて情報が登録される制度になります。
貸金業者側のアクションか、本人サイドのアクションかの違いがあります。
貸付自粛依頼情報が登録されると約5年程度、その情報が登録され続け、それを参照した会員企業からはお金を借りることができなくなります。
この制度は日本貸金業協会が実施しており、日本貸金業協会に届け出ると、貸付自粛情報は、日本信用情報機構とシーアイシーの二つの情報機関に登録され、それぞれの加盟企業が支払い能力調査のために参照できる状態になります。
登録依頼できる人に制限がある
当然ですが、だれでもがこの自粛依頼を出せるわけではありません。
日本貸金業協会によれば、この依頼を出すことができる受理されるのは、
1.本人
2.法定代理人(親権者、後見人、保佐人、補助人)
3.配偶者もしくは二親等以内の親族
4.三親等以内の親族および同居の親族
とされています。
また、上記の3、4の場合は、それぞれ要件が設けられており、その要件すべてを満たしていないとならないとされています。
中でも、本人が所在不明であることが求められるなど、本人以外の人がこの依頼をするためにはそれ相応のハードルが設けられています。
本人の所在が明らかな場合は、本人の意思がないとこの依頼は出せません。
貸付自粛情報の中身は?
情報の中身は、以下のように定められています。
自粛対象者の氏名
住所
生年月日
貸付自粛申告があった年月日
貸付自粛申告があったとの記述
その他必要と認められる事項
これらの情報が個人信用情報機関に登録され、約5年間、情報として参照可能な状態になります。
撤回について
この制度は、本人の借金癖、浪費癖に対する予防措置的な意味合いがありますが、本人の意思に反しては実行されません。
通常、本人以外の者がこの依頼を出した場合、3か月を経過したらいつでも撤回をすることができます。
また本人以外の者による申告であった場合は、本人が取り消しの手続きをとれば、いつでも撤回をすることができます。
貸付自粛依頼の届け出先は?
日本貸金業協会の各支部まで出向くか、郵送でも受け付けています。
注意事項
この制度は、日本貸金業協会が実施している制度であって、日本の金融機関すべてに適用になるものではありません。
つまり、例外があるということです。
例
銀行のカードローン(銀行は貸金業者ではない)
闇金(そもそも信用情報を参照しない)
貸金業協会が指定している信用情報機関以外の情報機関を参照している貸金業者
上記のような場合には貸付が自粛されるわけではありません。ある意味抜け道になっていますので、注意が必要です。